もやもやレビュー

『(500)日のサマー』に見る、ポニーテールの威力。

(500)日のサマー [DVD]
『(500)日のサマー [DVD]』
20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> LawsonHMV

 ポニーテール。非常にシンプルでありながら、主に若い女子、一部のカッコいいおばさんと、沖田総司のみに許された、人を選ぶ髪型です。ある調査によれば、女性が一番かわいく見える髪型として男性から最も多くの支持を集めたのがポニーテール。しかしそれを使いこなすのは非常に難しく、選ばれし人物のみが性能を最大限に活かすことができると言ってよいでしょう。そしてこの『(500)日のサマー』のヒロイン、サマーもまたポニーテールを最大限に活用することが可能な、選ばれし勇者(ジャケットはカチューシャですが、これもポニーテールと同じくらいチート)。

 恋愛経験値が低い草食男子(さすがにもう死語かもしれない)のトムが、サマーという魔性の女に翻弄される物語。キスしてもセックスしても友達だと言い張るサマーの心を、トムは理解できません。「セックスしたのだから、責任取って付き合え」は、かつては女子の常套句でしたが、コンドームがほぼ完璧なまでに進化を遂げた現代。モテ無双の女子は、もうそんなこと気にしないのかもしれません。トムと同じく恋愛経験が少ない私は、いまいちその感覚が理解できませんが。

 さて、トムが冒頭で「クソ女」と呼ぶサマー。ですが、いわゆるビッチとは一線を画しています。コンサバファッション×ポニーテールという最強すぎる組み合わせによって。並みの女性ならビッチとしか思われない行動も、サマーがすると"不思議ちゃんだから仕方ない"になってしまうのです。うなじの後れ毛に感じる隙、髪がぴょんぴょん揺れる時のフレッシュで甘やかな少女性、後ろにひっつめることでキュッと上がる目尻・・・。そして服装は、無難さが逆にエロいコンサバ服。ビッチだけど、ビッチじゃない! その不思議な力は、スティーブ・ジョブズが持っていたとされる現実歪曲フィールドにも通じるものがあります。サマーだけではない、かわいくてコンサバな女子のポニーテールには、すべて現実歪曲フィールドというパッシブスキルが付いているといっていいのです。ちなみにサマー(ズーイー・デシャネル)は、三十路でもポニーテールの威力が保てることも、証明してくれました。

 ビッチだという自覚があるかわいい女子は、みんなコンサバポニーテールでいきましょう。ただそれだけで、現実を超越した存在になれるのですから。

(文/鬱川クリスティーン)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND 映画部!

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム