『バトルシップ』を観て、忘れかけていた「ひゃっほー」の感覚を思い出す。
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大人になってみて思うこと。それはできないことをやらなくなってしまった、ということです。もちろんそうでない人も多いと思いますが、少なくとも私はそんなクソつまらんヤツになり下がっていました。頭の中では盛り上がっても、それはお金がかかる。一緒にやってくれる友達がいない。きっとサムいと思われる。などなど、すぐに諦める理由を探そうとしてしまいます。でもこの映画を観て、少し目が覚めました! やろう。そのくだらない思いつきに、命を捧げてみよう。
『バトルシップ』は、第二次世界大戦で日本とアメリカが戦った真珠湾を舞台に、日本人とアメリカ人が協力して宇宙からの侵略者をやっつけるというストーリー。自衛艦の艦長役で、浅野忠信が準主役級の活躍を見せています。
地球に攻めてきたくせに、弱点は太陽光というエイリアンの弱々ぶりも面白いですが、この映画がやりたかったことは恐らくひとつ。戦艦ミズーリを動かすことです。それ以外はすべて前座。制作者たちが嬉々として戦艦ミズーリの場面を作っていたであろうことが、ストーリー上からも画面からもバレバレ&キレキレに伝わってきます。ひゃっほぉぅ〜!という制作者の声が、副音声で聞こえてきそうなほどです。
これが、ユニバーサル映画100周年記念映画として、2億ドル(約200億円)もの制作費をかけてやりたかったこと。・・・最高です。しかもアメリカでは2012年ワースト映画だ!なんて批評家から酷評されまくり、興行も奮わない。こんな最高の失敗がありますでしょうか。好きなことをやりきって、潔く逝く。浪漫を追うということの格好よさを、この映画は教えてくれたのです。
(文/鬱川クリスティーン)