もやもやレビュー

妊婦が仕事人間の夫に見せる映画。『ローズマリーの赤ちゃん』

ローズマリーの赤ちゃん リストア版 [Blu-ray]
『ローズマリーの赤ちゃん リストア版 [Blu-ray]』
ミア・ファロー,ジョン・カサヴェテス,ルース・ゴードン,シドニー・ブラックマー,モーリス・エバンス,ラルフ・ベラミー,ロマン・ポランスキー
パラマウント ホーム エンタテインメント ジャパン
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> HMV&BOOKS

 妊婦は観ちゃだめ! 作品といえばデヴィッド・リンチの『イレイザーヘッド』が浮かびますが、この『ローズマリーの赤ちゃん』も、セミ・妊婦は観ちゃダメ!作品です。でも、妊婦が家庭を顧みない夫に見せるには非常にいい作品です。

 ミア・ファロー演じる新婚主婦ローズマリーに、おめでたが発覚! しかし生まれてくる子どもは悪魔に狙われていて・・・というサスペンス。ホラーの超名作! 『エクソシスト』の原点! などといわれている作品ですが、いわゆるホラー的な恐ろしいグロ描写を期待して観ると肩すかしをくらいます。そういうのは、全然ありません。全編で主人公の心理的な恐怖が描かれているオカルト映画です。そして、ミア・ファローがかわいいです。ショートカットがよく似合うし、とてもお洒落。ちなみにウディ・アレンの前妻で、フランク・シナトラとも結婚していたことがあります。

 悪魔崇拝者VS妊婦という構図のこの作品。しかし観ているうちに、果たしてどっちが狂気なのかわからなくなってくるのが、ほんとに秀逸です。単に妊娠に起因する情緒不安定で妄想を抱いているだけなのか、現実に悪魔が子どもを奪おうと企んでいるのか。しかも、本来なら味方のはずの夫は仕事で頭がいっぱいで自分のことばかり。妊娠をきっかけにどんどん痩せて顔色が激悪になってる彼女を顧みようとしない夫、ローズマリーの脳内では悪魔の一味として認識されます。妊娠中の奥様がいる仕事人間の方は、ぜひ気をつけてください。

(文/鬱川クリスティーン)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム