もやもやレビュー

『キッズ・リターン』を観て自分の人生はじまってもないことに気づく

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 恥の多い人生を送って来ました。いや、友達のいない人生を送って来ました。って太宰治みたいな書き出しではじめましたが、何も僕は人生に悲観して自殺しようと思って書いているのではありません。むしろ、逆です。生きようと思ってます。パワーみなぎってます。なぜなら北野武監督『キッズ・リターン』を観たから。

 この映画、北野武監督がバイク事故を経て復帰した第一作でもあります。96年という内向の時代に上映されたことも相まって、どこか物悲しい、キタノブルー全開の映画でもあります。

 進学校の落ちこぼれ、シンジとマサルはもてあますエネルギーをボクシングに注ぎます。しかし、マサルの誘いでなんとなく始めたシンジの方が才能があったのです。やがてマサルはボクシングをやめ、極道の世界に。お互いにその世界で頂点を目指しますが、ふたりとも志半ばで挫折してしまいます。そして有名すぎるラストのセリフ。シンジ「俺たちもう終わっちゃったのかなあ・・・」、マサル「バカヤローまだはじまってもいねえよ」。そうです。今から作ればいいのです。友達。まだはじまってもいないのですから。

 正直もう終わってると思ってました。もう30代です。友達がいないことに対する漠然とした不安もありました(それは芥川)。でもこの言葉でなんとなく勇気がわいてきました。生きようと思います。あ、でもよく考えたらシンジとマサルは親友なのか・・・。

(文/神田桂一)

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