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『25年目のキス』のブスキャラに本気を感じた。

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 人生で唯一、リア充だったのは、高校2年生のときでした。あの頃にはもう戻れないけれど、戻りたいとも思いません。だって、自分にはリア充が似合わないと気付いてしまったときでもあったから。そんな苦悩の日々を再び体験するっていう、聞いただけでも失禁しそうな映画、『25年目のキス』を観ました。

 主人公のジョジーは、25歳になってもキスすらしたことがない、地味で真面目な新聞記者。ある日、「17歳のフリをして高校に潜入し、最近のティーンの実態を探れ」というミッションが課せられます。初の大きな仕事に最初はやる気マンマンだったのですが、折に触れ、過去のトラウマを思い出します。そう、高校時代の彼女は、「ブスのジョジー」と呼ばれる超イジメられっ子だったから。
 
 強烈だったのは、妥協一切ナシのブスキャラ演出です。本来、女優さんがブスキャラを演じても、普通に美人だったりするじゃないですか。ところがですよ。ジョジー役のドリュー・バリモアの、高校時代のもっさり演技がハンパないんです。リュックに流し込まれたジュースが、好きな男子の目の前でおもらし風にこぼれてくるという神がかり的ないじめられ方をします。学校に存在する理不尽なヒエラルキーをとことん突き詰めたかったのでしょう。そう思います。おもらしに本気を感じます。しかしながら、『メリーに首ったけ』のテッド然り、なぜハリウッド映画のイモティーンは決まって歯列矯正をしてるんでしょうね? どうでもいいですけど。

 そんなわけで、試行錯誤しながら2度目の高校生活を送るジョジー。初めのうちこそやっぱり屈辱を味わいますが、持ち前の知性と弟の協力のおかげで人気者になり、プロムクイーンにまでのぼり詰めます。でも、気付きます。こんなものくだらないと。なんの財産になるんだと。社会に出れば世界はずっともっと広くて、プロムクイーンもダサいオタクも関係ないんだと。それはジョジーが、ヒエラルキーのトップと底辺の両方を体験したからこそ、分かることなのかもしれません。ナチュラルボーンイケてるヤツ、どんなに頑張っても「なれない」ヤツ。いつだって学校という場には、どうしても2種類の人間が存在してしまうから。そして残酷なことに、未熟な彼らは絶対に分かり合えないから。
 
 最後に言えることは、この原稿が完全に着地点を見失っているということなんですが、とりあえず、世の中にはいろんな人がいるけれども、受け入れたり受け入れられたりしながら生きていくのかなって思う映画です。友達がほしい。
 
(文/ペンしる子)

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