もやもやレビュー

『幸せになるための27のドレス』を観て、今年はNOと言える人間になろうと決めた。

幸せになるための27のドレス [Blu-ray]
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「元旦に婚姻届を提出しました☆」というカップルの新居には、できることなら遊びに行きたくありません。なぜなら、「ところが書類に不備があってさ〜。元旦入籍計画、失敗☆」というてへぺろ話を聞くくらいなら、死んだほうがマシだからです。しかし、ハッピーなお誘いほど断れないのが小心者の性。冷たいとか薄情とか思われるのが怖くて、結局、手土産を片手にピカピカの1LDKに踏み入れることになるのです。そこからは、ただただ居心地の悪い、地獄の数時間が待っているというのに。

 さて、NOと言えないのは日本人だけかと思っていたら、欧米人にもいるんですね、いわゆるお人好し。『幸せになるための27のドレス』は、そんな人を後押ししてくれる映画です。
 主人公のジェーンは、人に頼まれたら嫌と言えない性格で、花嫁の付添人(ブライズメイド)として、ウエディングドレスの試着や会場手配、披露宴の余興まで、あらゆる雑務に骨を折っていました。ある週末には2つの結婚式を掛け持ちする始末。ブライズメイドが着るドレスも、捨てられないまま27着に。さらに、長年の片思いの相手・上司のジョージに想いを告げられずにいると、自分とは正反対の性格の妹・テスとジョージが結婚することになってしまいます。当然、ジェーンはテスのブライズメイドになり、こき使われまくります。

 そんな折、ある出来事をきっかけに、わがままで自分本位で、嘘つきなテスにとうとう愛想を尽かしたジェーン。結婚式当日、テスの正体と素行を暴露してしまいます。テスを理想の相手と疑わなかったジョージは、ショックを受け、無言のまま離席。「そうそう、人の好意につけいるヤツには絶対天罰が下るんだよね...」とニヤニヤしている自分に気付きます。黒い。どす黒い。でも地味にスカっとするんです、これが。
 でもでも、そんな卑怯な手を使わなければ自分の正当性を訴えられなかったジェーンにも、もちろん問題はあるんですよね。最初から、嫌なことは嫌だと断っておけばよかったんです。片思いをこじらす前に告白しておけばよかったんです。そうすれば、ジョージが自分を有能な部下としてではなく、「何でも引き受けてくれる便利屋」としか見ていなかったことにも、もっと早く気付けたはずですから。

 今年は、気が乗らないお誘いや頼まれごとは、キッチリ断る人間になろうと思いました。断る瞬間は勇気がいるけれど、長い目で見れば、そのほうが自分も他人も幸せのままでいられるからです。だから、幸せ臭むせ返る新居にも行きません! そもそも、新居に呼んでくれる友だちがいませんけど! ...やっぱり、新居には呼んでおくれ! 全力でお祝いするから!

(文/ペンしる子)

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