もやもやレビュー

『0:34 レイジ34フン』で、2015年の抱負を思いついた。

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 今年もラストデイ、大晦日になりましたね。1年を振り返って思ったのは、人からよく「何言ってるのかわからない」と言われたことです。とはいっても今年に限ったことではなく、去年も一昨年もずっとそう言われていましたが。
 『0:34 レイジ34フン』もそんな映画です。何言ってるのかわからない。
 日本にもトイレの花子さんや口裂け女などの怖い都市伝説がありますが、この映画の背景にあるのも、どうやらロンドンの都市伝説「地下鉄には殺人鬼が住んでいる」ということのようです。終電後の地下鉄駅に閉じ込められる恐怖感、そこにいる得たいの知れない殺人鬼といった怖さが、ニューハーフっぽい顔立ちのヒロイン(驚くほどかわいくない)とともに楽しめます。
 確かに怖い。初めの頃はなんだか怖い。でも、その大元にある「地下鉄に殺人鬼がいる」という都市伝説を知って(さらに怖がったことがないと)、徐々に、徐々に、恐怖というよりも、「意味不明」という感覚に襲われていきます。この映画に出てくる殺人鬼は、恐らくロンドンの人にとってはトイレの花子さん的なものだろうと思います。つまり説明不要の存在だからこそ、説明しないとわからない人が観ても、最終的には「何、何? え、あいつ結局何だったの?」というふわっした感じでエンドロールを迎えることになります(でもラストは色即是空な感じが意外といいですよ!)。というわけなので、「あいつが何だったのか」を考えちゃいけない。共通意識としての怖い化け物ということで納得しておきましょう。
 またこの殺人鬼、日本の都市伝説に出てくる化け物がかわいそうな過去を背負っているのと同じように、かわいそう感いっぱいです。恐らくマッドサイエンティスト的な輩が人体実験で作り出したと思われ、地底人のような奇異な姿。人からは案の定「気持ち悪い!」とか言われちゃいます。なぜ人を殺しているのかはわかりませんが、自分で食べているor自らが飼育している大量のねずみたちの餌にしている、どちらかの理由が濃厚でしょう。それに加えて、人間全般に対する恨みとかもあるんじゃないでしょうか。わからないけど。とはいっても、得たいが知れない&気持ち悪いからといって、選択肢がぶち殺す一択というのも、ちょっと考えると酷いです。得たいの知れないモンスターはとにかくぶち殺せ発想が、戦争を生んできたんだろうが!という憤りの気持ちまでわき上がってきます。
 わからないものとこそコミュニケーションしてみよう。というか、2015年こそは人とちゃんとコミュニケーションがとれるようになろう。そんな気持ちになれる映画です。

(文/根本美保子)

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