もやもやレビュー

『おろち』を観て、シミ・シワを受け容れる大事さを学んだ。

おろち [DVD]
『おろち [DVD]』
TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D)
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> LawsonHMV

 昨年、新語・流行語大賞にもノミネートされ連呼されまくっていた「美魔女」。光文社の『美STORY』が発信した造語ですが、実際これって褒め言葉なんですかね。何かまがまがしいものを感じてならぬのですが。
 さて、楳図かずお先生の同名マンガを映画化した『おろち』。29歳になると美貌が崩れ、醜い姿になってしまう家系の2代にわたる女たちを、超能力を持った不死の美少女・おろち(谷村美月)が観察するという物語です。大女優・門前葵とその娘・一草をひとり二役で演じた木村佳乃の暴れっぷりや、一草の妹・理沙を演じた中越典子の不気味さ。仲が良かったはずの姉妹が、自分だけが醜くなる運命だと知った瞬間に、恐ろしい関係へと形を変えていきます。
 ふたりとも一緒に醜くなるなら良かったんです。でも自分だけが醜くなってしまうというのは、どうしても受け容れがたいものです。もう仲良かったとかどうでもよくて、嫉妬まみれになってしまうこと、美人ではない私でもわかります。
 女子は一緒が好きです。子どもの頃は一緒にトイレ行こう、一緒に帰ろう、一緒にクラブ入ろうとか、無理なく一緒にできる範囲のことばかりでしたけど、大人になると一緒のタイミングで結婚するとか、一緒の年に出産するとか、一緒の会社で同じように出世しようとか、一緒にやるのが無理なことばかり。さらに老化なら平等に訪れるものと思いきや、三十路過ぎても肌ツルな人がいる一方で、ダイナミックにシミ・シワが発生する人もいる。ハゲるのが早い人がいるのと一緒です。たぶん。だから一緒に年をとるっていうのも、外見上は無理なんです。
 一緒にとか言ってると、生きてくのが辛くなります。自分に起きる変化を、自分の中で受け容れていくしかない。シミもシワも、腹まわりにだぶついた脂肪も。美魔女になれるのは一握りなんです。お金があるか、もともとのスペックが高いか。だから要は、友達がいない=周囲に嫉妬する対象が少ない方が生きやすいのかもしれません。仲が良いほど、自分と一緒だと思っていた人にほど、置いてけぼりを食うと嫉妬心が醸成されやすいから。大人になると友達が少なくなるのは、嫉妬心を自制するための自然の防御策なのかもしれません。そう、友達がいないのは、自然の摂理なのだ!

(文/鬱川クリスティーン)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム