『ピーピー兄弟』で、兄(姉)の生きざまに思いを馳せました。
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弟(妹)にとって兄(姉)というものは、いつだって、いつまでだってまぶしい存在。『ピーピー兄弟』を観て、そんなことを思いました。
メガネでちびの兄と、男前で長身で巨根(キャッ♥)の弟はストリップ劇場に出演する売れない兄弟漫才師。実家の葬儀屋でお小遣いを稼ぐような冴えない日々を送っていますが、ある時客に野次られキレた弟が舞台で過激な下ネタを連発すると、これが大ウケしてテレビ番組に出演することになります。放送禁止用語を連発するふたりの漫才はテレビではピー音だらけ。ネタのほとんどはピー音でかき消されてしまいますが、この漫才スタイルが人気となり二人は一躍お茶の間のスターに。しかし、次第にエスカレートするピーにふたりは追い詰められ、すれ違いはじめます。
弟にコンプレックスを持ち続けていたのは兄です。でも弟は、はなっから兄と自分を比べたりしません。だって、生まれた時には自分の前には兄がいて、いつだってその背中の後を追ってきたんだもの。漫才師になったのだって兄ちゃんに誘われたから。嫌々でもなくノリノリでもなく、ただ兄弟だからです。たぶん。
長子は前へ前へと突き進みます。道無き道を切り開いて。石橋を叩いたりはあんまりしません。そしてやらかす。乱暴にいえば、それに「迂闊だよ!」と突っ込み、同じ失敗はするまいと生きていくのが次子(私調べ)。でもね、長子には手本となるような背中(親の背中は遠すぎ)はないのです。いつだって周りの期待を一身に背負い、先の見えない不安をはねのけて先陣を切って進んできた。うん、愛すべきは長子です。ありがとう、全国の長男長女のみなさん! なんだかわからないけど、私、次子としてもう少し謙虚に生きていきたいと思います。
(文/森 亜紀子)