もやもやレビュー

社畜は実はリア充だったという事実を、映画『フォー・ルームス』から学ぶ。

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 年末年始、皆さん楽しくお過ごしでしょうか?
 今年の年末年始は、ボリビアの男性2人が記録したという200時間連続映画鑑賞したというギネス記録に挑戦すべく、クリスマス・イブから1月4日まで一人で映画を見続けようかと計画中でした。が、ある一本の映画を観て、考えが変わりました。
 私のように年末年始を過ごす恋人がいない。友達がいない。家族がいない。一人さみしく過ごそうと考えているみなさんに、うってつけの映画。それが、今回紹介する『フォー・ルームス』です。

 この映画は、ひとつのアメリカのホテルで起こる大晦日の一日を追った作品なのですが。はい、いま『有頂天ホテル』みたいなドタバタ胸アツなコメディ映画を想像した人、はずれです。
 ティム・ロス扮するベルボーイが、大晦日に出会う不思議な客たちに振り回されまくるというブラックユーモアたっぷりの一本なのです。ベルボーイのテッドが遭遇するのは全部で4つの部屋の乗客たちなのですが、会う客、会う客、とにかく変です。ひとつ目の部屋はセクシー魔女の謎の会合、2つめは不倫がバレた妻とその妻を銃で脅す夫。3つ目はラテン系ギャングとその子どもたち。4つ目は賭けに負けたら友達の指を切り落としてくれと頼む大物ハリウッドスターの部屋。もう、この時点で読んでいる方には意味不明だと思います。すみません。

 しかも、キャストはマドンナやアントニオ・バンデラス。クエンティン・タランティーノやサルマ・ハエック、ブルース・ウィルスと、映画ファンは喜びそうな豪華ぶり。さらに監督も一部屋ごとに違って、ロバート・ロドリゲスやクエンティン・タランティーノなど豪華スタッフが個性爆発させてます。エロもバイオレンスも銃も美女も要素はばっちり。それ以上に、4つのショートストーリが微妙にリンクしているというこだわりぶり。その整合性をはかるためにも1度ならず、2度以上観ることをおすすめします。
 でも、それ以上に注目なのが、すべての物語をつなぐ唯一の存在・テッドです。上司に無理やり一人でホテルを切り盛りするよう押し付けられ、わがままな客に振り回される彼は、どうみても不条理でかわいそうな存在です。というか、その姿は、まさに社畜。でも、映画をよく見てみると、一晩のうちに泣いて、笑って、セックスして、脅されて、ブチ切れて、恐怖して、嘔吐して、喜んで。普通の人の一年より、ヘタしたらはるかに濃い一日を過ごしているのです。なんか、うらやましい。

 思えばこの一年、友達がいないばかりに感情の起伏が少ない日々を過ごしてきました。労働すれば友達がいなくても喜怒哀楽を体感できる。それを学んだ映画です。
 ということで、失われた1年を取り戻すべく、年末年始は急遽バイトを入れることにしました。バイトが終わった夜には映画を観る予定なので、年末年始に一人で見るのにおすすめの映画、もしもご存知の方がいたら、ぜひ教えて下さい。

(文/ハリ山トゲコ)

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