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『フィリップ、君を愛してる!』を観てケンシロウに負けたラオウの気持ちが分かった。

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 自分の彼女のことを「俺の女」とか「俺のツレ」みたいに言っちゃう人が嫌いです。女じゃなくて「俺の彼女」だろ!!! っていうか彼女いねえわ! 俺の彼女とも言えねえわ!
『フィリップ、君を愛してる!』は2009年公開のアメリカ、フランス映画。ジム・キャリーが演じるIQ169の天才詐欺師でゲイのスティーブン・ラッセルが、刑務所で出会ったユアン・マクレガー演じる同じくゲイのフィリップに恋をします。弁護士に扮するなどスティーブンの天才的な知能を利用して2人は刑務所を出ることに成功します。一緒に暮らし始めた2人。スティーブンはフィリップのことが大好きでしかたなく、バカンスやブランド服、良い暮らしを与えてあげたいがためにとんでもない努力で詐欺を働き、お金をたくさん稼ぎます。そしてその詐欺が見つかり、フィリップに愛想を尽かされますが、「君を愛してる!」と伝えるためだけに、刑務所に入れられてはあの手この手で脱獄します。

 ゲイが題材なので、ジム・キャリーとユアン・マクレガーが深い口づけを交わすのには「あわわわわ......」って感じですが、フィリップへの愛のためだけに行われる詐欺の大胆さがとにかく面白いです。そして驚くべきはこの物語が実話だということです!! 
 ええええええ!!!! そう! 実話なんです! 脱獄王と呼ばれるスティーブン・ラッセルは異例の刑期167年を言い渡され、現在も1日23時間の厳重監視の元服役しています。驚愕です。何というエネルギーでしょう! たった一人の人間を愛するが故に! 「人は他人のために生きる時、最も力を発揮する」と聞きますが、ここまでいくとやばいです。 
 皆さんご存知、マンガ『北斗の拳』で圧倒的な力を持ち、自他共に最強を認めるラオウは自分より格下であるはずのケンシロウに敗れます。死の間際、ケンシロウから受けた拳でラオウはようやく悟ります。自分の拳は憎しみ、怒り、己のための拳であり、ケンシロウの拳は愛する人を守るための愛の拳だったのです。人は愛する人のために戦う時、最も強く気高いものになる。そのことを理解したラオウはケンシロウの愛する人を返して微かにほほ笑みながら「わが生涯に一片の悔いなし!」と叫び自ら命を絶つのです...... ってなんの話だよ!!! とにかく人のために生きる時に人はとんでもない力を発揮できるってことです! じゃあ愛する人がいない人はどうすればいいんですか! 彼女とか奥さんいない人はどうすればいいんですか!! 愛を教えてください! というかもう愛をください! 男でもいいです!!! だめか!
 愛の力をまざまざと見せつけられたい人には最高の映画です。

(文/前髪ナガレ)

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