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恋の呪文は映画の中だけで効力を発揮します。『スコルピオンの恋まじない』

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 恥ずかしすぎて死にたい出来事がありました。『スコルピオンの恋まじない』を観たせいです。

 保険会社に勤務する敏腕保険調査員と、社内改革のためにやってきたキレ者キャリアウーマン。何かといがみ合う犬猿の仲のふたりが、同僚の誕生パーティで怪しいマジシャンに催眠術をかけられ、恋に落ちる。催眠術によって作られた偽物の恋は、やがて本物の恋になるのか、ならないのか! とってもロマンティックでお洒落な映画です。
 ひとつ誤算は、白髪でしわしわのどう見てもおじいさんなウディ・アレン(当時66歳)が、恋に落ちる役(主役)を演じてしまったことです。ウディ的にも「自分が主役を演じるんじゃなかった! ジャック・ニコルソンやトム・クルーズに頼めばよかった!」と後悔しているみたいですけれど。でもジャック・ニコルソンも当時64歳ですけど......。しかしウディ・アレンのパサパサ感に比べると、ジャック・ニコルソンのフェロモンの残り具合は超人のようです。
 
 この映画で描かれる「催眠術で恋に落ちる」というネタ。両思いになりたい妄想の中でもわりと王道であり、胸キュンしない方が難しいというもの。映画の中では「コンスタンティノープル」と「マダガスカル」というのが恋に落ちる呪文ですが、やはりそうです。唱えてみたくなるでしょう。そうでしょう。
 そういうわけで、映画を見終えたあと、旦那に言いました。むしろエンドロールの時に顔を近づけて言いました。「コンスタンティノープル」と。当然、脳内イメージ的には「マダガスカル」と返してくれるはずでしたが、返ってきたのは「やめろよ(怒)!」という罵声と肩パンでした。恋に落ちる呪文なんて、大嫌いです。でも映画に踊らされて唱えてしまう自分はもっと嫌いです。

(文/根本美保子)

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