社会不適合者かと悩んだら、『ヒミズ』でおっぱいの偉大さを再認識すべし。
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「自分は人とちょっと違う」という自意識がある種、優越感だった思春期の頃。それから干支も軽く一回りし、「いつまで経っても社会に馴染めん...」と悩んで観たのが、「ヒミズ」です。
誰よりも"普通"の人生を求める、中学生の住田(染谷将太)。大きな夢を抱かない代わりに誰にも迷惑をかけず、大きな幸せもなければ大きな災害もない、普通の大人になることが目標だといいます。しかし母親が男を作って姿を消し、さらには自分の存在を全否定する実の父親を殺害。中学生にして天涯孤独になってしまった住田の、普通じゃない人生の始まりです。何というか、不条理を前にして、若さとは残酷なまでに無力。「クズとクズの間に生まれただけで、俺はクズじゃない!」。住田がそう叫ぶシーンは、結構、胸が締め付けられます。
そこで救いとなるのが、二階堂ふみ演じる同級生・茶沢の存在です。彼女もまた、親に愛されず、狂いそうな悲しみを抱えている一人の女の子。恋する住田を心の拠り所とし、彼を応援しどうにかして全うな道を歩ませようとします。で、普通じゃなくなってしまった住田が、普通の人生に向かって走り出すところで映画は終了。
実は観賞中、二階堂ふみがどうしても宮﨑あおいに見えて仕方なく、ついついそっちに気を取られがちだったんですが...、気になったことがもうひとつ。何のサービスなんでしょうか、要所要所で、おっぱいの谷間を見せてます。でも、このおっぱいカットが画面に映ると、なぜかちょっと安心するんです。たぶん、全編を通して怒り、暴力、不条理の嵐であるこの作品にとって、欠かせないマイルド要素なんだと思います。たぶんね。この世におっぱいがあって良かった。サンキューフォーザおっぱい!
おっぱいといえば、日本の母乳育児率は約95%なんだそうです(粉ミルクと併用/平成17年厚生労働省調べ)。そう、人間誰しも生まれたときは赤ちゃんで、ベースはほぼ一緒のはずなんです。あああああ、もう、どこで間違っちゃったかなああああああ!! 自分にも茶沢さんみたいな人がいたら、いろいろ間違わなくて済んだんじゃないかっていう責任転嫁をしながら、やっぱりおっぱいは偉大だなって思った次第。何が言いたいのか分からなくなりましたが!
ちなみに、古谷実の原作漫画を読んだことがある人は、それを忘れて観た方がいいです。原作のディテールを残しつつ、全体的に「震災後の日本」を舞台にした「がんばれ映画」に仕上がってますのでね。
(文/ペンしる子)