もやもやレビュー

生きてる実感を求めるなら、『オールド・ボーイ』的タコの躍り食い!

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コンビニで買ったアイスに当たりが出たら、レジに持って行くべきか迷う。だから当たり付きのアイスは買わない。そんな平凡な1日が、今日もまた過ぎ去ろうとしています。なんですかこの毎日は! 生きてる実感が欲しい! そんな時は『オールド・ボーイ』です。
 平凡なサラリーマンがある日突然拉致監禁され、15年後に解放されて、首謀者に復讐しに行くという話。この映画の凄みのもとは、なんといっても生々しさ!です! 「生」!
 例えば主人公の武器が、銃やナイフなどの明白すぎる武器ではなくて、身近な鈍器(ネイルハンマー)であったり、セックスシーンが人間の蒸気でカメラがくもりそうなほどリアルだったり、全編通して"生もの感"が凄い! ヌルヌルです。また超生々しいセックスシーンに挑戦しているカン・へジョンという女優さんは元雑誌モデルだそうで、あどけない表情が本当に可愛らしいです。日本でいえばZipperモデルという感じの、ロリ系のおしゃれ顔。かつてバカ売れしたおしゃれ写真集『ちんかめ』にも出てきそうです。エロいことなんてしそうにないのに顔。して欲しくないのに顔です。さらに、おっぱいがとても普通です。ごくごく普通のおっぱいに、性よりも生を感じます。
 で、そういった生もの感を象徴しているのが、「タコの踊り食い」シーンです。解放された主人公が最初に行くのが、前述のカン・へジョンが板前として勤務している寿司屋。平凡なサラリーマンだった主人公は、監禁生活の末にワイルドなおっさんへと変貌を遂げていまして、にぎり寿司ではなく「生きているものが食べたい」という注文します。そこでカン・へジョンが持ってきたのが生きたタコ。出されたタコを手づかみで口の中に押し込むと、顔の周りでタコの足がクネクネうねる。それをさらに押し込む。そして口からタコの足を出したまま、ぶっ倒れる。これだー! これです、これ。エクスタシー。平凡な毎日に鮮やかな色をつけてくれるタコスタシーで、覚醒したい! と、思いつつ、当たり付きでないアイスをコンビニで買いました。平凡すぎる毎日は、まだまだ続きそうです。

(文/根本美保子)

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