『ラブ・アクチュアリー』で非リアを実感。
- 『ラブ・アクチュアリー [DVD]』
- アラン・リックマン,ビル・ナイ,コリン・ファース,エマ・トンプソン,ヒュー・グラント,ローラ・リニー,リーアム・ニーソン,キーラ・ナイトレイ,ローワン・アトキンソン,リチャード・カーティス
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日本では2004年に公開され大ヒットした本作。クリスマス前、恋愛、結婚式、そしてヒュー・グラント。キラキラした女性たちが好むすべてが揃った、ラブストーリーの金字塔のような映画です。19人の登場人物の人間模様、恋模様がストーリーが進むにつれて繋がっていくというのもワクワクします。
しかし! 非リア充街道をゆく者が観ると、それは逆に目の毒になります。首相との恋というのは置いておくとして(現実には野田先生であるし)。結婚式に参列していた人が実はサプライズ要員で、式の最中に突然ビートルズの『All need is love』を演奏&歌い始めるですとか、新婚ほやほやの人妻なのにクリスマスに告白される......ですとか。その夢のような世界に浸っていると、まるで自分もラブ・アクチュアリーの住人のように勘違いしてしまうものですが、エンドロールが終わると残酷な現実に背筋が凍ります。まず結婚式でサプライズしてくれるような友達がいない。クリスマスどころか、告白されたことがない。辛い。現実、辛い。
「世の中にはこんなに愛が溢れているんだ」。本作からはそんなメッセージが発信されています。少なくとも『ラブ・アクチュアリー』を観ている時だけは、確かに世の中が愛に溢れていることを実感できます。それでいいのかもしれません。映画は希望を届けてくれるものなのだ。クリスマスのプレゼントを開ける前のようなものなのだ。開けた瞬間、「これじゃなーい」となるのは、常なのです。
というわけで、温かい気持ちに包まれたいなら『ラブ・アクチュアリー』です。
(文/根本美保子)