エッチの後に号泣も 女を不幸にする妖怪男「トラウマ吟遊詩人」って?
- 『妖怪男ウォッチ』
- ぱぷりこ
- 宝島社
- 1,296円(税込)
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モテ服を着てモテテクを駆使し、「今度こそ幸せになれる」と信じて付き合った男性。しかし、つらく不安になるばかりで、幸せと結びつかない恋愛だったという経験はありませんか? きっとそれは、"妖怪男"の仕業かもしれません。
「妖怪男とは、異なるルールや価値観を持っていて理解の範囲を超える男、他者を利用して傷つけて災厄をもたらす男です」
そう本書『妖怪男ウォッチ』で定義するのは、著者のぱぷりこさん。恋愛市場は"魔窟"であり、妖怪男が跋扈(ばっこ)しているといい、自身の女友達から情報取集し実際に遭遇した、そんな妖怪男たちの傾向と手口がまとめられています。
例えば、「トラウマ吟遊詩人」。吟遊詩人とは、中世ヨーロッパに伝わる詩や曲を、各地を放浪しては歌う幻の職業で、ゲームでは攻撃力は低く補助系の技が得意。恋愛市場では、「己の身に起きた悲劇の物語を語る」という技を繰り出して抜群の効果を発揮します。
「彼らは『悲劇の物語』がいかに人の心を打つかを熟知しています。『君とは付き合いたくないんだけどセックスだけしたい』という22文字のメッセージを壮大な物語で吟じ、聞き手の心をわしづかみ」(本書より)
ぱぷりこさんの取材によれば、その物語は、昔付き合っていた彼女が元カレのDV男のことが忘れられず苦しんでおり、彼女を救おうと尽力。しかし、結局DV男と浮気され、2人のセックス現場を目撃してしまったなど、「女が信用できない」「女が怖い」といった壮大な物語が吟じられ、セックス後には号泣することもあるといいます。
さらに、トラウマ吟遊詩人は、「なんで付き合ってくれないの?」という女性の質問の返答にも"必殺技"を持っており、「俺のこと、理解してくれなかったんだね。すごく好きだったのに、君も同じなんだね......」と釈明しつつ、「君の力で傷が癒えたら付き合う」という希望や適度な甘えをみせて「君だけは特別だよ感」を出すというのです。
すると女性は、「付き合えなくてもいいの、彼を癒したい」「多様な関係をもっと認めてもいいと思う」などと拡大解釈し、ますます彼に尽くしてしまい、沼にドはまり...。しかし、こうした吟遊にも弱みがあります。
「ヤリチン戦法の弱みは、一度やり方がバレたら同じ相手には通じないこと。『乙女ゲーばりのロマン量産、トラウマ語りはヤリチンの常套手段』だと気づいた子たちは、もう同じ手では口説けません」(本書より)
トラウマ吟遊詩人をはじめ、「第二のママ錬金術師」「セフレ牧場経営者」など数多くの妖怪男が生息しているという恋愛市場。"妖怪図鑑"ともいうべき本書を参考にすれば、妖怪男を退治して幸せな恋愛も夢じゃないかもしれません。