いまの若者が恋愛をしたがらない理由とは?
- 『恋愛しない若者たち コンビニ化する性とコスパ化する結婚 (携書153)』
- 牛窪 恵
- ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 1,188円(税込)
- >> Amazon.co.jp
- >> HonyaClub.com
- >> エルパカBOOKS
現在、交際相手がいない20代は、女性60%、男性76%(2014年/リクルートマーケティングパートナーズ)。過去に一度も交際経験がない20代は、女性23%、男性41%(2014年/明治安田生活福祉研究所)。さらに、未婚で恋人がいない20代男女の約4割が、恋人は欲しくないと回答(2015年/内閣府「少子化社会対策白書」)。その一方で、20代の男女の9割近くが、"いずれ結婚するつもり"といい、さらには恋愛結婚を望んでいるといいます(2010年/国立社会保障・人口問題研究所)。
交際相手がおらず欲しいとも思わないが、恋愛結婚をしたいという、この"矛盾"に着眼したのは、数々のテレビ番組などでも活躍する牛窪恵さん。
本書『恋愛しない若者たち』では、バブル崩壊と長引く不況、恋愛リスクの露呈、超情報化社会と行き過ぎたコミュニティ志向、性のコンビニ化、超親ラブ族の出現といったキーワードを用いながら、その矛盾を生み出している要因について分析。
また、日本の恋愛やセックスや結婚の歴史、そして世界各国の恋愛事情なども紹介。いまの若者たちが恋愛や結婚についてどのように捉えているのかを明らかにしていきます。
「いまの若者は、この国に期待していない。(中略)ていのいい自己責任論を振りかざし、何もしてくれない大人にうんざりし、『せめてリスクだけは減らそう』と、恋愛にまで背を向け始めた。
一方で、そんな彼らがまだ期待感を持っているのが、同棲や結婚だ。不安な時代だからこそ、誰かと連帯する経済的・心理的メリットを痛感しているから」(本書より)
そして本書の最終章では、同性婚や年の差婚、グローバル婚、格差婚、週末婚、同級生婚、里山婚、同棲婚などをはじめとした、これからの時代における多様な結婚の可能性について注目がなされていきます。
そのうちのひとつが、別居婚。その名の通り、結婚はしていながらも、それぞれが別々の住居に住むという別居婚のメリットとしては、「互いの転勤に左右されず、マイペースで仕事や生活(趣味)ができる」「いつまでも新鮮な気持ちでいられる」「別々に住めば、実家とも行き来しやすい」といったことが挙げられるといいます。
実家とも行き来しやすいという点では、実際いまの20〜30代夫婦の65%が、結婚後、妻か夫の実家から30分未満の距離に住んでおり、週末には実母の手料理に甘える夫婦も少なくないのだそう(2014年/国立社会保障・人口問題研究所)。親との関係、距離感の変化も、その背景にはあるようです。
なぜ、いまの若者たちは恋愛をしたがらないのか。そしてこれからの結婚の形とはどのようなものになっていくのか。考えさせられるキーワードの詰まった一冊となっています。