パプリカの完熟を待っていると腐ってしまう……どうしたら?

尻腐れ症のパプリカ。カルシウムが、果実まで十分に行き渡らないと発症する。病気ではなく、生理障害なので、手入れの見直しで改善する。撮影:上林徳寛
収穫までにピーマンの3〜4倍の時間を要するパプリカ。熟すのを待っているといつの間にか腐っていることも。恵泉女学園大学人間社会学部教授の藤田 智(ふじた・さとし)さんに、起こりやすいトラブルについてうかがいました。

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パプリカは完熟果を収穫する野菜です。未熟果を収穫するピーマンが開花から20日ほどで収穫できるのに対し、パプリカは60日以上かかります。その分、さまざまなトラブルが起きやすくなります。
ふだんから果実をよく観察しましょう。小さな穴があいているなら、タバコガの幼虫による食害です。やがて腐ってきます。穴が1つなら中にいるので、果実ごと取り去りましょう。穴が2つなら、ほかの果実の中にいる可能性があります。
果実のお尻の部分が黒くなってきたなら、カルシウム不足による尻腐(しりぐさ)れ症でしょう。土の中にカルシウムが十分あっても、水分が不足すると吸収できないので、まずは水やりを。カルシウム剤の葉面散布(ようめんさんぷ)も効果があります。
軟腐(なんぷ)病の可能性もあります。土の中にいる病原菌が雨や水やりなどによってはね上がって葉につき、傷口から侵入して発症します。病気を広げないように、腐った果実はすぐに取り除きましょう。しばらく様子をみて、生育が悪いようなら株を抜き取って処分してください。予防のため菜園の水はけをよくし、雨の日や葉がぬれているときには、整枝(せいし)などの手入れや収穫をしないようにしましょう。
■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2020年8・9月号より

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