辰巳芳子さんのパエリアとガスパチョ

撮影:小林庸浩
料理研究家の辰巳芳子(たつみ・よしこ)さんが、工夫をこらしたパエリアとガスパチョを教えてくれました。

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スペインのバレンシア地方の名物、パエリアと、アンダルシア地方のガスパチョ。日本人は他国のご飯と汁物を取り入れて、より豊かな食卓を目指してほしいですね。
本場スペインでは、鍋底が平らで浅いパエリア鍋を使い、調理中は混ぜないのが原則といわれています。今回は浅めの鍋で、米と煮汁を混ぜて炊き上がりの味わいを均一にしました。
一方のガスパチョは、イエズス会のスペイン人宣教師、アギレさんに修道院の台所で教わったつくり方です。
以前は、ガスパチョの表面にオリーブ油がキラキラ浮いていて困っていたんですよ。不都合だなと思っていました。しかしオリーブ油はトマトの酸味を和らげるので入れたい。それがアギレ流すり鉢パン方式で解決しました。すり鉢とすりこ木があるからこそできたのです。
スペインの乾いた空気の中、晴れ上がった青空の下でこれを飲むと、何とも爽やかに生きていける可能性を感じます。蒸し暑い日本でも、ぜひ取り入れてほしい。トマトの裏ごしが面倒なら、トマトジュースで代用してもよいでしょう。各企業が社員食堂で提供してくだされば、うれしいですね。
※つくり方はテキストに掲載しています。
■『NHKきょうの料理ビギナーズ』連載「辰巳芳子のご飯と汁物」2019年9月号より

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