江戸時代の卵料理を現代風に シンプル調理で優しく深い味わいを楽しもう

撮影:三村健二
人に必要な栄養素が詰まっていて、いろいろな料理に自在に変幻する卵。『NHKまる得マガジン 江戸グルメ本に学べ! 万能 卵活用術』では、江戸時代の人気料理本『卵百珍(たまごひゃくちん)』を基にした様々な卵料理レシピを掲載しています。講師は伝承料理研究家の奥村彪生(おくむら・あやお)さん。本講では、卵をシンプルに調理した3品を紹介します。

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■卵の持ち味をシンプルに楽しむ

『卵百珍』には、あまりほかの食材を加えずに、当時高価だった卵をシンプルに調理した料理も登場します。今回は、卵の風味や食感を存分に楽しめる料理を選んでご紹介します。
最初に登場するのは「煮抜き卵葛(くず)かけ」。「煮抜き卵」とはゆで卵のこと。少しとろみをつけただしをかけるだけといたってシンプルですが、卵の滋味深さが堪能できる、ほっとする味わいです。次の「卵たまご潮煮(うしおに) 」は今でいうポーチドエッグ。思いきってカレーソースに合わせ、洋風のしゃれた一品に。『卵百珍』内で少ない揚げ物の一つ「湯卵(ゆたまご)」は、天ぷらの衣を揚げたようなスナック風。「湯」は「油」の当て字です。原本ではあひるの卵も使いますが、ここでは鶏卵のみでつくりました。最後の「利休(りきゅう)卵」は、ごま風味の卵豆腐。茶人・千利休(せんのりきゅう)がごま好きだったとされることから名付けられたと考えられます。手軽に作りやすいよう、練りごまを使いました。

■奥村流 煮抜き卵葛(くず)かけ 〜ゆで卵のくずあんかけ〜

「煮抜き卵」とはゆで卵のこと。みんなの人気者、うす味のおでんの卵風です。『卵百珍』では、しょうが汁やわさびでアクセントをつけていましたが、とことんシンプルに。半熟卵のとろんと優しく深い味わいを楽しみます。


■奥村流 卵潮煮(たまごうしおに) 〜ポーチドエッグのカレーソース〜

原文では昆布のだしに入れていただきますが、現代風にカレーソースで。ご飯かパンを添えれば、朝食にもぴったりです。


■奥村流 湯卵 〜溶き卵とくず粉の揚げ物〜

カリカリとした食感がクセになるおつまみ。にんにくしょうゆのかわりに、塩や砂糖を少しふりかければ、おやつにも。


■奥村流 利休(りきゅう)卵 〜練りごま入り卵の蒸し物のあんかけ〜

ごま風味のふわふわ卵豆腐といった食感と味わい。練りごまのかわりに、すったくるみやピーナツを使っても。

※つくり方はテキストに掲載しています。
■『NHKまる得マガジン 江戸グルメ本に学べ! 万能 卵活用術』より

NHKテキストVIEW

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