肩こりの正体と原因

イラスト:埜口琴理
仕事や家事に集中していて、「あー、肩がこった」と感じることはありませんか? 『NHKまる得マガジン 毎日できる 簡単肩こり体操』では、東京大学医学部附属病院22世紀医療センター運動器疼痛メディカルリサーチ&マネジメント講座長、特任教授の松平 浩(まつだいら・こう)さんが、簡単にできて体も心もリラックスできる、肩こりにきく体操を紹介しています。まずは肩こりの症状と原因を松平さんに教えてもらいましょう。

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■そもそも肩こりって?

首と肩を支えている筋肉、肩甲骨まわりの筋肉が緊張して硬くなり、こりや痛みを不快に感じる状態です
筋肉が緊張すると、筋肉の内部にある血管が圧迫されて血液循環が悪化します。血液の流れが悪くなると、筋肉に十分な酸素が供給されなくなり、その部分に疲労物質が蓄積して、その部位での痛みやこりを感じるようになるのです。
医学的には、「後頸(こうけい)部から肩、および肩甲背部にかけての筋肉の緊張感を中心とする不快感、違和感、鈍痛などの症状、愁訴」と説明されます。

■どうして肩こりになるの?

とくに大きな原因と考えられるのが、姿勢とストレスです
 
その姿勢、思い当たりませんか?
日常的にパソコンに向かったり、スマートフォンを見たりする時間が長い人が増えています。そのときの姿勢をよく見てみると、たいがいの人が胸よりも前に首を突き出し(頭部前方突出姿勢といいます)、背中は丸くなっています。これでは首や肩の筋肉に負担がかかりますね。そんな姿勢を1日に何時間も続けていたら、肩こりになってもしかたありません。
また、それほど悪い姿勢でなくても同じ姿勢を長く続けていると、同じ部分の筋肉にばかり負担がかかり、筋肉が疲労してしまいます。
ストレスも関係していた!
仕事や家事の忙しさ、職場や日常生活の中でのさまざまな人間関係……便利だけれど変化の速い社会において、現代人は多くのストレスにさらされています。
自律神経には交感神経と副交感神経があり、交感神経は活動しているときや緊張しているときに、副交感神経は休息しているときやリラックスしているときに働きます。本来は2つのバランスがとれていることが望ましいのですが、ストレスなどでイライラすると、交感神経が強く働き、筋肉の緊張も高まります。そうした状態が繰り返されたり、長く続いたりすると筋肉はだんだんと硬くなって、肩こりを引き起こします。
しかも肩こりがあることがまたストレスとなって、脳が痛みに対して敏感になり、筋肉の緊張がなくてもストレスを感じただけで痛みを感じるようになるという、悪循環が起きてしまう可能性があります。
■『NHKまる得マガジン 毎日できる 簡単肩こり体操』より

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