クリスマスローズはなぜ下を向いて咲くの? ここが知りたいQ&A

撮影:加藤宣幸
「みんなの趣味の園芸」で募集した疑問・質問に、クリスマスローズの専門家、野々口稔(ののくち・みのる)さんが答えます。「それが知りたかった!」というお役立ちQ&Aを紹介します。

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■Q1 クリスマスローズを初めて育てようと思うのですが、初心者向けの種類や、苗購入時のコツはありますか?

A1 おすすめなのは、丈夫で育てやすく、きれいな花を咲かせる無茎種の交配種(ガーデンハイブリッド)です。
無茎種の交配種は、花の咲き方(ダブル・セミダブル・シングル)だけでなく、さまざまな花色、花の模様などが組み合わさり、花姿がバラエティーに富んでいます。実際に、花が咲いている姿をご覧になって選びましょう。
株元が太くしっかりし、新芽が出始めている株を選ぶことがポイントです。

■Q2 マンションのベランダで育てています。購入したクリスマスローズの鉢を翌年もたくさん咲かせようと、大きめの鉢に植え替えたら枯れてしまいました。鉢植えでも上手に咲かせるコツを教えてください。

A2 植え替えで失敗する要因としては、環境の変化、植え替えの時期、鉢、土、肥料の選択、根のほぐし方、そして、植え替え後の水やり管理など、さまざまな要因が考えられます。
気になったのは、「大きめの鉢」に植え替えられたことです。根鉢よりも一〜二回りほど大きい鉢に植え替えるのが基本です。いきなり大きい鉢に植え替えると、鉢土の量が多すぎて、鉢内が過湿となりやすく、根腐れを起こして枯れてしまうことがあります。
大きく育てるには、いきなり大きな鉢に植え替えるのではなく、少しずつ段階的に鉢を大きくしていったほうがよく育ちます。

■Q3 クリスマスローズはなぜ下を向いて咲くのですか。きれいなので、もっとよく見たいのですが、上を向いて咲かせることはできますか。

A3 植物学的には、下向きで咲く花を好むハナバチ類の訪花を誘引していると考えられます。ハナバチ類は行動範囲が広く、一つの花での採蜜時間が短く、効率よく多くの花を訪れて受粉の可能性を増す、植物にとってはありがたい存在です。このため、花首を長くし下を向くように進化したと思われます。
花をよく見たいという人間の欲求で、近年の品種改良により花首が短くて上向きの花もふえてきましたが、あまり上を向かせると、雨が当たり、しべが傷みやすくなります。
下向きの花をどうしても上向きにしたい方は、支柱を立てて上向きにされています。
※テキストには全11個のQ&Aを掲載しています。
■『NHK趣味の園芸』2018年1月号より

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