『おとめ六法』で学ぶ「現代の犯罪」 男女ともに知っておきたい被害内容と対処法
- 『おとめ六法』
- 上谷 さくら,岸本 学,Caho
- KADOKAWA
- 1,540円(税込)
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世の中ではさまざまな犯罪が起きている。殺人、暴行、詐欺などのほか、女性が被害に遭う確率が圧倒的に高い強姦や強制・公然わいせつといった種類の犯罪もある。そのため女性は、男性以上に日々の生活で気をつけなければならない場面が多いだろう。「なぜ女性が気をつけて生活しなければならないのだ」「何も気にせず自由に暮らしたい」と悔しい思いもあるだろうが、危険な目に合わないためにも用心するに越したことはない。
しかし、いくら気をつけていてもトラブルに巻き込まれてしまったら? 「自衛が十分ではなかったのだろうか」「私が悪かったのかもしれない」、そう自分を責めてしまう女性がいる。また、被害者にそうした心ない声をあげる人がいる。でも、そうではない。
弁護士の上谷さくらさんは、そうした女性たちを助けるべく、弁護士・岸本 学さんとの共著『おとめ六法』を執筆した。上谷さんは「相手に『違法な行為』があれば、あなたは悪くありません」ときっぱりと言う。そして、「違法な行為とはなにか」を知るために『おとめ六法』が非常に役立つのだ。
本書は「恋愛」「SNS・インターネット」「学校」「くらし」「しごと」「結婚」の6章でまとめられており、それぞれの章で役立つ法律を分かりやすく解説。また、前述した強姦や強制・公然わいせつなどの凶悪犯罪のほか、ささいなトラブルなども扱っている。
たとえば、本書に出てくる悩みのひとつに「すでに恋人がいるのに新しくすてきな人に出会い、浮気をしている。以前から付き合っている恋人から慰謝料を請求される?」というものがある。これはもちろん「恋人に慰謝料を支払う法的義務を負うことは、原則ありません」というのが本書の答えだ。
しかし、「ほかに交際相手がいるのに『あなただけ』などとだまして交際し、高額なプレゼントをもらったり食事をおごってもらったり、いろんな便宜を図ってもらうなど、相手の気持ちを大きく踏みにじったような場合には、例外的に慰謝料の支払いを求められる可能性もあります」(本書より)とのこと。度が過ぎた浮気性の人はドキッとする一文かもしれない。
また、本書は「おとめ」と冠されているものの、男性が読んでも非常にためになる内容となっている。たとえば「SNSでつきまとわれている。ブロックすれば収まる?」という悩みは、SNS時代真っただ中の現代なら誰でも抱え得る悩みのひとつだろう。これに対する本書の答えはこうだ。
「いきなりブロックすると、拒絶されたと感じて逆上される危険がありますのでやめてください。居場所を探されたり、家に押し掛けてくる可能性もあります。返信するのも、ストーカーとの関係性を持続することになるため、やめるべきです。ブロックも返信もせず、画面を保存して警察に相談してください」(本書より)
ほかにも「学校の裏サイトに、私のことを『うざい』『きもい』と中傷する内容や、『援交をしている』など事実ではないうわさが書き込まれた」、「一人でカラオケを楽しんでいたら知らない男性が入ってきて出て行ってくれない」、「ネットオークションに不用品を出品。少しでも高く売りたくて、見栄えがよくなるように品物の写真を加工した。また『美品・傷なし』『返品不可』などの説明書きも加えた」など、実に多種多様な例が紹介されている。
本書を読めば、被害に遭ったときの対処だけでなく、大切な人が被害に遭ったときの対処も学べる。たとえば性犯罪や性暴力の被害者に対して、「被害者にも責任がある」と言ったり、言葉にせずとも好奇の目を向けたりするだけで多大なダメージを与えてしまう「セカンドレイプ」は、身近にいる人こそ細心の注意が必要になる。あなたの恋人、友だち、子どもなどから「性被害を受けた」と告白されたら、あなたはどういう反応を返すだろうか。本書を読んで、無意識に自分が加害者側になっていないか、ぜひ確認してほしい。