【「本屋大賞2018」候補作紹介】『盤上の向日葵』――将棋界の"革命児"の過去を辿る壮絶なストーリー

盤上の向日葵
『盤上の向日葵』
柚月 裕子
中央公論新社
1,944円(税込)
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 BOOKSTANDがお届けする「本屋大賞2018」ノミネート全10作の紹介。今回、取り上げるのは柚月裕子著『盤上の向日葵』です。

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 藤井聡太六段の活躍をはじめ、将棋で初の永世7冠を達成した羽生善治竜王など、話題に事欠かない将棋界。今や空前の将棋ブームで、注目度が増していますが、本書はその波を予見したかのような、将棋界をモチーフにしたミステリ小説です。

 物語冒頭では、タイトル戦「竜昇戦」で、2人の天才が雌雄を決する場面が描かれます。「名人になるために生まれてきた男」と呼ばれる若き天才棋士・壬生芳樹(みぶよしき)竜昇。14歳で四段に昇進し、若干18歳で初タイトルを獲得、無類の強さを発揮します。端正なルックスとソフトで知的な話し方も相まって、将棋に興味のなかった層にも人気を呼び、多くの女性ファンを獲得。将棋ブームをけん引する存在です。

 そんな彼に挑むのは、「炎の棋士」と異名を持ち、プロ棋士の養成機関である奨励会を経ない特殊なルートで、なんと実業界から転身してプロになった東大卒のエリート棋士・上条桂介(かみじょうけいすけ)六段。壬生の華麗さとは異なる"異端の革命児"です。

 上条の経歴は特殊でした。東大卒業後に外資系企業に就職後、ソフトウェア会社を起業し、ベンチャー企業の旗手となります。その後、IT企業業界のトップスリーまでに会社を育て上げたにもかかわらず、突然売却し実業界から引退します。そこから、アマチュア棋士にまさかの転身を果たし、次々とプロを撃破。戦前以来の特例でプロとなります。

 一方で、埼玉県内の山中で白骨化した遺体が発見されます。遺体には「初代菊水月作」の、最高級品の将棋の駒が置いてありました。プロ棋士を目指していた埼玉県警の刑事、佐野直也(さのなおや)とベテラン刑事の石破剛志(いしばつよし)が、遺体の身元と犯人、なぜ高級な駒が遺体にあったのかを全国を飛び回り捜索し始めます。そして、「竜昇戦」は3勝3敗のタイに持ち込んでいた折、会場の山形県天童市に2人がやってきて......。

 物語は警察の捜査パートと上条の過去を辿る章が交互で展開され、それらの点がやがて一つの線に結びついていくことになります。

 上条の出生の秘密、壮絶な過去、将棋に命をかけて挑む熱き男たちの戦いに、感動と興奮すること必至。将棋好きにもミステリ好きにもオススメの一冊です!

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