ネタ切れ知らずのインド映画。『マーク・アントニー』がとにかくヤバい
『マーク・アントニー』 11月21日(金)より新宿ピカデリーほかにて全国公開
こんな作品見たことない!
面白いインド映画をまたひとつ大発見しました。
本作はインドで2023年に公開されたタミル語映画。
『ジェイラー』『レオ:ブラッディ・スウィート』『バーラ先生の特別授業』などヒット作が並んだタミル映画界で、世界興収10億4,300万ルピー(約18億5,500万円)を記録し、同年タミル語映画の興収ランキング第7位に。
近年、インド映画は「もうネタないでしょ?」と思った頃に必ず新しい切り口の作品を投げ込んでくる。毎回日本公開を心待ちにしています。
物語は1975年から始まる。
マッドサイエンティストのチランジーヴィが 過去の人と通話できる電話機を開発する。それを使えば過去の自分や周囲の人に連絡し、災難を回避させたり、利益になる選択を促すことができる。しかし、研究の成功を祝おうと立ち寄ったバーでギャング抗争に巻き込まれ、電話機は行方不明に。
----それから20年後。
自動車修理工のマークが偶然その電話機を見つけ、その特殊な性能を知ったことから、彼の育ての親でギャングのボス・ジャッキー、その息子マダン、そして亡き父アントニーまでも巻き込む、時を超えた運命改変の大騒動が幕を開ける。
「過去に電話できる」という設定だけでも胸が高まるが、そこに"未来が変化していく"という展開が重なり、さらに途中からは 日本の「死に戻り」系アニメに通じる構造を感じる瞬間も。仕掛けた伏線が中盤で回収され「え、ここで終わり?」と思ったら、そこからが本当のスタートだった。結果、最後まで飽きる瞬間がない。
ギャングの死闘が軸にありながら、親子や恋人との愛の物語もしっかり描かれている。だから主人公マークがどんどん"人として"魅力的に見えてくる。観客はいつの間にか彼に肩入れし、物語に引き込まれてしまう。
綿密に組み立てられた脚本と、先が読めない展開。
インド映画にしては149分と長すぎず、とても見やすかったです。
電話をかけるたびに何が起こるのか。
ぜひ、そのワクワクを劇場で体感してください。
(文/杉本結)
『マーク・アントニー』
11月21日(金)より新宿ピカデリーほかにて全国公開
監督:アーディク・ラヴィチャンドラン
出演:ヴィシャール、S・J・スーリヤー、リトゥ・ヴァルマ、セルヴァラーガヴァン、アビナヤ、Y・G・マヘーンドラン、ニラルガル・ラヴィ、レディン・キングスリ、カールティ(声の出演)ほか
配給:SPACEBOX
原題: Mark Antony
2023/インド/149分
公式サイト:https://spaceboxjapan.jp/markantony/
予告編:https://youtu.be/6Pm63JabzbQ
©Mini Studio © Ayngaran International

