スターバックスは何を変えたのか? 46のルールから読み解く「ブランド戦略」

- 『スターバックスはなぜ値下げもCMもしないのにずっと強いブランドでいられるのか? (新装版)』
- ジョン・ムーア,花塚恵
- ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 1,870円(税込)

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1971年にワシントン州シアトルに1号店がオープンし、1987年にハワード・シュルツ氏が買収して以降、アメリカ国内のみならず世界中に店舗を拡大してきた「スターバックスコーヒー」。日本では北米以外での初の店舗として1996年に東京・銀座に第1号店がオープンし、現在では国内に1500店以上が展開されています。
競争の激しい飲食サービス業界の中で、スターバックスが今も多くの人を惹きつける秘密はどこにあるのでしょうか。それを解き明かす鍵となる書籍が、『スターバックスはなぜ値下げもCMもしないのにずっと強いブランドでいられるのか?』です。スターバックス本社の元マーケティング担当であるジョン・ムーア氏が、社内で文書化されず、社員の間で暗黙の知見として言い伝えられてきた46のルールについて紹介しています。
スターバックスは、アメリカ、そして世界中の人々のコーヒーに対する考え方に影響を与えてきたとされています。1990年以前に成人したアメリカ人にとって、コーヒーはカフェインを摂取するためのものでしかなく、「必需品ではあるが、とうてい楽しめるものではない日用品」(本書より)という存在でした。しかし、スターバックスは「微妙で深いエキゾチックな風味を持つコーヒーを、居心地よく落ち着ける環境で飲めるようにすれば、『日常のちょっとしたひととき』として受け入れられるかもしれない」(本書より)と考え、当時は存在しなかった新たな価値や体験を提供しました。
ほかにも、スターバックスのマーケティング戦略や経営哲学、サービス、人材育成、独自の社内文化などを具体的に紹介しています。「低価格戦略は、結局高くつくと心得よ。」「強いブランドはブランドの『負債』より『資産』が多い。」「従業員エクスペリエンスが社員にも会社にも成長をもたらす。」「組織図の中にお客さまを位置づけよ。」など、スターバックスのビジネスやブランドを作り上げたエッセンスが詰まっています。
本書は、2007年に出版された『スターバックスに学べ!』を改題、再編集し、新装版としてデザインを一新したものですが、現在のビジネスシーンにも役立つ部分は多いはず。価格競争に巻き込まれずに独自のブランドを確立したいと考える経営者やビジネスマンは、本書に記された46のルールからさまざまなアイデアや教訓を得られるでしょう。
[文・鷺ノ宮やよい]
