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"理想の若夫婦"の悪夢『レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで』

レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで (字幕版)
『レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで (字幕版)』
サム・メンデス,サム・メンデス,ヘンリー・ファーネイン,マリオン・ローゼンバーグ,デヴィッド・M・トンプソン,スコット・ルーディン,ジャスティン・ヘイス,リチャード・イエーツ,レオナルド・ディカプリオ,ケイト・ウィンスレット,キャシー・ベイツ,マイケル・シャノン
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1997年の不朽の名作『タイタニック』に出演したレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレット。2人が11年ぶりに共演し、夫婦役を演じた映画『レボリューショナリー・ロード 燃え尽きるまで』は、誰もが憧れる"理想の若夫婦"の葛藤や絶望を描いた作品です。

舞台は1950年代のアメリカ郊外。2人の子どもに恵まれた夫婦、フランク(レオナルド・ディカプリオ)とエイプリル(ケイト・ウィンスレット)は、美しく理想的な若夫婦に見えます。彼らはパーティーで出会い、若くして結婚。しかしフランクは、好きでもない仕事に飽き飽きしながらも家族を支えるために働いていました。一方、エイプリルは家事をこなしながら退屈な日々に耐え、タバコを吸いながら孤独を紛らわせていました。そんな2人は、この生活を変えようとパリへの移住を計画します。その計画によって2人の関係は再び良好になりますが、周囲からは「無計画すぎる」「子どもじみた考え」といった批判が相次ぎます。そんな中、フランクは会社からあるオファーを受け、パリ行きに疑問を抱き始めます。

「自分たちはどこか特別で、自分たちの夢は必ず実現できる」----そんな理想を抱く夫婦が、現実の厳しさに直面したときにどうなるのか。本作は、アメリカの郊外というリアルな環境を舞台に、理想と現実のギャップを容赦なく描いています。

SNS時代では、カップルアカウントや夫婦アカウントを見かける機会が増えましたが、誰もが憧れる理想的な夫婦にも、裏の顔や悩みがあるもの。「完璧な夫婦なんて存在しない」そんなメッセージが込められた作品です。タイトルに「燃え尽きるまで」とある通り、夫婦の関係は次第に破綻へと向かっていきます。カップルで鑑賞するには、やや重すぎるかもしれません。

ちなみに、本作の監督を務めたのは、当時ケイトの夫だったサム・メンデス。IMDbによると、撮影時、レオナルドとケイトはお互いを笑わせたりからかい合ったりした後に、険悪なムードのシーンを撮影していたそうです。メンデス監督は、「2人の関係は『タイタニック』撮影時と全く変わっていない」と語っています。

(文/トキエス)

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