『アバター』壮大な異世界と環境問題を考える旅
- 『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター (字幕/吹替)』
- James Cameron,James Cameron,Jon Landau,James Cameron,Rick Jaffa,Amanda Silver,Sam Worthington,Zoe Saldaña,Sigourney Weaver,Stephen Lang,Kate Winslet,Cliff Curtis,Joel David Moore,CCH Pounder,Edie Falco,Jemaine Clement,Giovanni Ribisi,Britain Dalton,Jamie Flatters,Trinity Jo-Li Bliss,Jack Champion,Brendan Cowell,Bailey Bass,Filip Geljo,Duane Evans, Jr.,Dileep Rao
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2009年に公開され、世界中で大ヒットを記録したジェームズ・キャメロン監督の『アバター』。公開当時、全世界歴代興収第1位を誇った本作は、圧倒的な映像美と3D技術で観客を異世界パンドラに引き込んだ。リマスター版として再び劇場で鑑賞できる機会が訪れ、当時とは違う視点で本作を楽しむことができた。本稿では、物語の魅力や映像体験、そして現代的な環境問題との関連性に注目しながらレビューしたい。
巨匠ジェームズ・キャメロンが『タイタニック』(97)以来12年ぶりに放つ、デジタル3DによるSF超大作である。地球から遠く離れた神秘の惑星パンドラを舞台に、自らの分身となる"アバター"を操り、星の先住民ナヴィ族と交流する主人公ジェイクが、人類とナヴィ族の戦争に巻き込まれていく姿を壮大なスケールで描く。
22世紀、人類は希少鉱物を求め、パンドラで「アバター・プロジェクト」に着手した。ナヴィ族と人間のDNAを組み合わせた肉体=「アバター」を操ることで、人体に有毒な大気の問題をクリアしつつ鉱物を採掘することが可能となった。車椅子生活の元兵士ジェイクはアバターを通して自由に動き回ることができ、族長の娘ネイティリと恋に落ちる。しかし、自身の任務がパンドラの生命を脅かすことに気づき、星の運命を決する選択を迫られる。
本作のストーリーは壮大であり、美しいパンドラの自然を背景に、人間の自分勝手な行動の代償が描かれている。木を切り、資源を手に入れようとする人間の姿は、現実の地球で起きている自然破壊と重なる。一方、ナヴィ族は自然を大切に家族のように共に暮らし、その生活ぶりには深く考えさせられるものがある。
筆者が初めて3D映画を体験したのも本作であり、鑑賞時には異世界を旅するようなフワフワとした感覚を覚えた。映像美の衝撃は今も鮮明であり、リマスター版の大スクリーンでの体験は圧巻である。
公開当時よりも環境問題への関心が高まった現代だからこそ、『アバター』は単なるSF映画以上の意義を持つ。自然との共生や生命の尊さを考えさせるとともに、映像美と迫力ある体験は劇場でこそ味わうべきである。まだ劇場で観たことのない人は、次作からでも遅くはないのでアバターは劇場で鑑賞することを推奨したい。
(文/杉本結)