50代の恋愛の難しさ『グロリア 永遠の青春』
- 『グロリア 永遠の青春(字幕版)』
- セバスティアン・レリオ,ジュリアン・ムーア,ジョン・タトゥーロ
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チリの映画監督、セバスティアン・レリオの代表作である『グロリアの青春』。第86回アカデミー賞の外国語映画賞にはチリ代表作品として出品され、トロント国際映画祭やベルリン国際映画祭などでも上映された本作が、ハリウッドリメイクされました。タイトルは『グロリア 永遠の青春』。『アリスのままで』などで知られる実力派女優のジュリアン・ムーアが主人公で、離婚歴のある中年女性を演じます。本作で彼女は、人生を謳歌しようとする役を見事演じ、高評価を受けています。
夫と離婚したグロリア・ベル(ジュリアン・ムーア)。昼間は保険会社で働き、夜は好きなダンスを踊りにクラブにいくなどして人生を楽しんでいました。そんな中、グロリアはクラブで同じく離婚経験のあるアーノルドと出会います。2人は瞬く間に恋に落ち、アーノルドが「この年になってまた恋愛をするとは思わなかった」と話すほど。久しぶりのトキメキを感じたグロリアはこの関係を明確なものにしようと家族にアーノルドを紹介しますが、その一方で、アーノルドはグロリアとの関係を元妻や娘に隠したままでした。ある夜、グロリアの息子の誕生日パーティへと訪れたグロリアとアーノルド。しかし、そこで起きたあることがキッカケで2人の関係にヒビが入り......。
子育てからも妻という役割からも解放されたグロリアは、離婚後の生活を謳歌します。その一方でアーノルドは、娘たちとの依存関係から離れることができません。離婚しても自分を取り巻く家族の環境などが違えば、恋愛の仕方も180度違うということを描いた一本。10代の恋愛映画や20代の恋愛映画、そして30代の恋愛映画もそれぞれ違いますが、本作では自分が恋に落ちる年代によっての悩みがそれぞれ違うことを実感させられた作品でした。
前述した通り、ジュリアン・ムーアの演技に関しての絶賛の声は多く、Rotten Tomatesでは「彼女はいつも素晴らしいが、今回は特に素晴らしく、バランスの取れた演技をしている。ニュアンスがあり、傷つきやすく、強く、面白く、感情豊かで、質感がある」といった批評家のコメントも。一方で、観客スコアは47%とやや低め。好き嫌いが別れてしまう一本ではありますが、大人のリアルな恋愛模様をみたい方はぜひ。
(文/トキエス)