もやもやレビュー

パンデミック後に待っているのは"地獄絵図"『28週後...』

28週後... [Blu-ray]
『28週後... [Blu-ray]』
ロバート・カーライル,ローズ・バーン,ジェレミー・レナー,マッキントッシュ・マグルトン,イモジェン・プーツ,ファン・カルロス・フレスナディージョ
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人間を凶暴化させるウイルスが蔓延した終末世界を描いたスリラー映画『28日後...』。そのスマッシュヒットを受けて製作された続編『28週後...』では、感染拡大から半年後、壊滅状態となったイギリスをアメリカ軍が再建しようとするところから物語が始まります。

ウイルス発生から28週間。街の再建がようやく始まる中、感染を免れてスペインへ修学旅行に行っていた姉弟タミーとアンディがイギリスへ帰国。彼らは保護区域内で父・ドンと再会を果たします。ドンから「母親を助けられなかった」と聞かされた2人は、深い悲しみに包まれます。その後、母の写真を撮るためにこっそり自宅へ向かった2人は、なんと"死んだはず"の母・アリスと再会。そこから再び、封じ込められたはずのウイルスが恐ろしいかたちで広がっていくことに......。

『28日後...』で監督を務めたダニー・ボイルは、今作では製作総指揮に名を連ねています。メガホンを取ったのは、スペイン出身の映画監督ファン・カルロス・フレスナディージョ。彼にとって本作が初の英語作品となりました。

本作の大きな特徴は、「家族」というテーマに焦点が当てられているところ。感染パニックの只中にありながらも、家族内での嘘や裏切りといった人間ドラマが深く描かれており、前作とはまた違った魅力を持っています。軍の対応が次第に混乱していく様子や、それによって人々の命が脅かされていく描写は、観ていて胸が締めつけられるほどリアル。前作よりスケールアップしたアクション、壊滅状態のロンドンが映し出す壮絶な風景、社会的な問いを投げかけるセリフの数々が、圧倒的な印象を与える本作は、エンドロール後もじんわりと心に刺さる一本でした。

(文/トキエス)

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