商業映画のほうが自主映画『ナミビアの砂漠』
- 『ナミビアの砂漠』
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『ナミビアの砂漠』を観た。山中瑶子監督の本格的な長編第一作にして、第77回カンヌ国際映画祭の監督週間で国際映画批評家連盟賞を受賞し、当時27歳の山中はこの賞を受賞した史上最年少の女性となった。
まず素晴らしいのは、主演の河合優実の演技と存在感。それで持っているといっても過言ではない映画だと思った。あとは、不安定な主人公の女性の葛藤と日常がBGMなしで綴られていくんだけど、僕にはイマイチ伝わらなかった。大衆に伝わる芸術と伝わらない芸術。この映画は後者だったのかなと思っている。
インナーサークルで評価されても、そのジャンルの先細りでしかないわけで(文学にも言える)、売れていることがえらいとは言わないけど、芸術性と商業的成功を兼ね備えた作品はいくらでもあるわけで。エンタメ性をとりいれようと思っていなくても、そういう作品には無意識に人を吸い寄せるエンタメ性が必然的に備わっている。そういうものがこの作品にはなかったのかなと思った。
商業作品なのに、自主映画くさいというか。今年、日本アカデミー賞を総なめにしたインディーズ映画『侍タイムスリッパー』とは真逆の方向性で面白い現象だと思ったので、ここに記録として記しておく。
(文/神田桂一)