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大都会ニューヨークの静寂『クワイエット・プレイス:DAY1』

クワイエット・プレイス:DAY1
『クワイエット・プレイス:DAY1』
Michael Sarnoski,Michael Bay,Andrew Form,Brad Fuller,John Krasinski,Allyson Seeger,Vicki Dee Rock,Michael Sarnoski,Lupita Nyong'o,Joseph Quinn,Alex Wolff,Djimon Hounsou
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 ジョン・クラシンスキーが監督・脚本・主演を務め、妻のエミリー・ブラントと共演し大ヒットしたサバイバルホラー『クワイエット・プレイス』。「音を立てたら、即死」というユニークな設定であるものの「泣けるホラー映画」としても話題となり、続編『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』もヒットを記録。そして、同シリーズの前日譚を描くスピンオフ『クワイエット・プレイス:DAY1』が2024年に公開されました。本作は"静寂とは無縁の場所"、大都会ニューヨークが舞台。

 主人公は、ニューヨークの作家サミラ(ルピタ・ニョンゴ)。彼女は末期の癌を患い、飼い猫と一緒にホスピスで静かに暮らしていました。ある日、日帰りで街に訪れたサミラの前に突如、空から隕石が降り注ぎ、さらには謎の生物が次々と人を襲う驚愕の事態が発生。彼女はなんとか生き延びようと息を潜めていたところ、スーツ姿のエリック(ジョセフ・クイン)と出会い行動を共にすることになります。

 本作を手掛けたのは、ニコラス・ケイジ主演の『PIG ピッグ』で注目を浴びたマイケル・サルノスキ監督。これまでの『クワイエット・プレイス』シリーズで重要な役割を果たしてきたジョン・クラシンスキーは、今回は製作と脚本にまわり、残念ながら出演していません。前2作では生き残った家族に焦点を当てていましたが、本作は、全く別の登場人物にフォーカスしています。そんな本作を支えているのは「ニューヨークで静けさが必要」という斬新なアイディアと、ルピタとジョセフの自信に満ちた演技。サミラが末期がん患者という設定は、物語に深い層を与え、すでに死を覚悟している彼女がどれだけ生き延びるために戦うのかというテーマが描かれています。前作とは異なる視点で、まったく新しいホラー体験が楽しめるのも、本作の魅力の一つ。ちなみに、ニューヨークを舞台にしながらも、撮影の多くはロンドンのサウンドステージで行われたという裏話も興味深いポイントです。

(文/トキエス)

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