ナオミ・ワッツが息子のために孤軍奮闘 『デスパレート・ラン』
- 『デスパレート・ラン』
- フィリップ・ノイス,クリス・スパーリング,ナオミ・ワッツ,コルトン・ゴボ
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今回ご紹介する『デスパレート・ラン』は、二人の子どもを養うため懸命に働いているエイミー(ナオミ・ワッツ)が、息子の学校で起きた事件に奔走する数時間を描いた作品です。
朝食のあと、ランニングを楽しむエイミーのスマホに、「高校で緊急事態発生」とのニュースが。高校でいったい何が起きているのか?事件?事故? 他の保護者が学校に駆けつけるなか、彼女だけが孤軍奮闘。その訳は、家からも学校からも街からも離れたところにいること。それから、学校を休みがちになっていた息子が、本当に登校したのか定かでないこと。一体どうしたらいい? エイミーは唯一の所持品であるスマホを駆使し、なんとか情報を集めようと動き始めるのです。
物語は最後まで、学校はおろか、事件そのものを映さないスタイルで話が進んでいきます。ミステリー感は皆無で、ほぼナオミ・ワッツのひとり電話劇。よく言えば情熱的、悪くいえばこちらがイライラするようなトークを、わたしたちは最後まで聞かせられることに。
タイトルとポスター写真のナオミ・ワッツの横顔から私が想像していたのは、映画『ラン・ローラ・ラン』の世界観でした。ベルリンで裏金の運び屋をしている男が、ボスの大金をなくしてしまう。愛する男を救うべくベルリンの街をひた走る。
『デスパレート・ラン』でも、死に物狂いで森を駆け抜ける、そんな走りっぷりが見たかった。もしくは、もうちょっと物語に引きずりこんでいくような展開が欲しかったような。それでも息子の安否が気になって最後まで見届けてしまったのですが。
(文/峰典子)