もやもやレビュー

ユーモア盛りだくさん『ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル』

ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル (字幕版)
『ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル (字幕版)』
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『ジョジョ・ラビット』やマーベル映画で監督を務めるニュージーランドの映画監督タイカ・ワイティティ。彼が手がけた2016年のニュージーランド映画『ハント・フォー・ザ・ワイルダーピープル』はユーモアがたっぷりで、そして心もほっこりできる良作。頑固なおじいちゃんとヒップホップ大好き少年との大冒険が描かれています。

これまで里親やグループホームを渡り歩いてきた10歳の孤児の少年リッキーは、少年院送りになる前に陽気なベラおばさんに引き取られます。リッキーの家出や反抗的な態度にも負けずに愛情を注ぐベラ。その甲斐あってか、リッキーはベラの愛情を徐々に受け入れます。一方、ベラと一緒に暮らすヘクターおじさんは無愛想で、リッキーが近づいても「あっちへ行け」と毛嫌いしている様子。そんな中、ある悲劇が起きたことで、リッキーとヘックは一緒に森の中で数週間過ごすことになります。

『ジュラシック・パーク』シリーズなどで知られるサム・ニールが偏屈なヘクターおじさんを好演。そして、リッキーは『デッドプール2』などで知られるジュリアン・デニソンが務めました。距離感はありつつもお互いへの思いやりを持つという微妙な関係性の中での2人のやり取りは、笑えてそしてほっこりして、人の温かさみたいなものを感じ取ることができます。ちなみに本作の後半は『明日なき疾走』や『スマッシュ・パレス-孤独な暴走-』など1980年代のニュージーランド映画へのオマージュが多く含まれていると言われているので、この映画を機にニュージーランド映画について深掘りするのも◎。リッキーとヘクターおじさんはどちらも癖強キャラクターですが、どちらのキャラも愛してしまうのがワイティティ監督のパワーと言えるでしょう。心をキレイにしたい日にうってつけの一本。

(文/トキエス)

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