もやもやレビュー

#MeToo運動のキッカケとなった女性の勇気ある行動を描く『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け [DVD]
『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け [DVD]』
キャリー・マリガン,ゾーイ・カザン,パトリシア・クラークソン,アンドレ・ブラウアー,マリア・シュラーダー
NBCユニバーサル・エンターテイメントジャパン
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 2017年、性的暴行疑惑を報じられ2022年に禁錮23年を言い渡された大物映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン。ハリウッドの大物を告発するというこの大きな事件は、女性たちがセクハラ被害などに対し声をあげる「#MeToo運動」のキッカケとなり、アメリカだけでなく世界に広がり、大きな社会現象となりました。そんなハーヴェイの性的暴行疑惑を報じたニューヨーク・タイムズの2人の女性記者をメインに、女性たちの勇気ある行動を描いた『SHE SAID/シー・セッド その名を暴け』を今回はご紹介します。

 ニューヨーク・タイムズで働くミーガン(キャリー・マリガン)とジョディ(ゾーイ・カザン)は、ハーヴェイから虐待を受けたという女性たちの真実を追うために調査をスタートします。しかし開始早々、ハーヴェイが大物であることで恐怖を感じ、声を上げられない女性や、関わりたくないと考える女性が多いことに気づいた2人。それでもなんとか情報を集めるために、被害者と直接面談を決行。アメリカだけでなくロンドンにも訪れ、記事を書くために多くの時間を費やします。大きな力を持つハーヴェイの所業を暴露する記事とあって、様々な障害や多くの圧力もありますが、ミーガンとジョディは、真実を追求するために勇気や決意をみせていくのです。本作はまた、メディアとジャーナリズムの役割にも焦点を当て、社会問題を扱う際に報道が果たすべき役割も描いています。

 被害者の勇気や記者たちの奮闘する姿を見て、女性として涙する部分もたくさんあった本作。IMDbによると、ハーヴェイを調査する際に重要な情報源となった有名女優アシュレイ・ジャッドやグウィネス・パルトロー、ジュディス・ゴドレーシュは本作に本人役として登場しています。グウィネスとジュディスは声のみの出演でしたが、アシュレイは本作で自分自身を演じています。他にもハーヴェイの被害者だった女優のサラ・アン・マッセとキャサリン・ケンドールも本人役ではないですが出演。この力強い映画に被害者たちが実際に出演したことも、また「#MeToo運動」であることを実感。セクハラ被害にあった人が本作を見ることで自分を鼓舞することができ、告発の勇気を持てるかもしれない。そんな内容に仕上がっていると思います。

(文/トキエス)

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