"憧れのマイホーム"が悪夢に『ビバリウム』
- 『ビバリウム(字幕版)』
- ジェシー・アイゼンバーグ,イモージェン・プーツ,ジョナサン・アリス,ギャレット・シャンリー,ロルカン・フィネガン
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2019年のホラー映画『ビバリウム』。エメラルドグリーンの一軒家が並ぶ住宅地で起こる恐怖を描いた作品で、奇妙な魅力と最後の衝撃的な結末に驚かされた一本でした。
子どもが大好きな保育園の先生、ジェマ。彼女は恋人で庭師のトムと新居を探し中ですが、なかなかいい場所が見つかりませんでした。そんな中、新興住宅地「ヨンダー」を宣伝している怪しい不動産屋を、警戒しながらも尋ねることに。彼らを担当したのは、まるで聖書の訪問販売員のような格好をして、不気味なまでに笑顔を見せてくるマーティン。さらには「見学だけ」と言っているジェマとトムに対し、押し売りしようとしてきます。奇妙に思いつつも面白がって見学に行くことになったジェマとトム。同じ家々が並ぶヨンダーに入ると、「9」の家をマーティンに紹介されます。しかし物件見学中にマーティンがいなくなり、ジェマとトムは車で去ろうとするもの、ヨンダーから抜け出すことができなくなってしまいます。さらには追い討ちをかけるように、「育てれば解放される」と書かれた箱に入った赤ちゃんが届けられ......。
ジェマとトムが育てることになった子どもは、なんと数日ごとに大きくなる異常な成長っぷりをみせます。しかも、子どもなのに、まるで大人の男のような声を出し、2人のやりとりを真似することでしかコミュニケーションをとることができないのです。一体その子どもの正体って......? それはエンディングに明らかになるのですが、かなり鳥肌が立ちました。
子育てによる寝不足やストレスも描かれている本作ですが、その子育てに"喜び"は皆無。そんな中、人はどのように狂っていってしまうのか......そんな狂気も描かれた一本。ちなみに本作、1960年のSFホラー『未知空間の恐怖/光る眼(原題:Village of the Damned)』にインスパイアされたのではないかと言われています。どちらの作品も、"カッコウ鳥が子どもを育てる方法"に根ざしていて、意味を知ると恐怖を感じました。ぜひ本作のタイトル『ビバリウム』の意味も調べて、本作を鑑賞してみてください。
(文/トキエス)