もやもやレビュー

大事なものは想像力!『犬も食わねどチャーリーは笑う』

犬も食わねどチャーリーは笑う
『犬も食わねどチャーリーは笑う』
香取慎吾,岸井ゆきの,井之脇 海,中田青渚,小篠恵奈,市井昌秀,市井昌秀,木下直哉,飯島三智,谷川由希子,石塚正悟,大塚健二
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 3月に日本アカデミー賞の最優秀女優賞を受賞した岸井ゆきのさんが観たくて手を伸ばした本作です。

 裕次郎(香取慎吾)と日和(岸井ゆきの)は結婚四年目の仲良し夫婦。でもそれは仮の姿でした。
 日和は、SNSの〈旦那デスノート〉にチャーリーという名前で、日々積もる裕次郎への不満を投稿していました。
例えば、脱いだ靴下がソファーの隅から出てきたり、日和の職業(テレホンオペレーター)を誰にもできる仕事だと言ってみたり。また、裕次郎のいびきがうるさくて眠れず、仕方なく早朝から掃除をする日和に、うるさくて起きてきたとようやく起きてくるやいなや、ご飯まだ?と言ったり...。

 チャーリーは夫婦で飼っているフクロウの名前。しかもその内容は裕次郎と日和にしか分からないものでした。同僚との会話から旦那デスノートを知った裕次郎は、チャーリーの正体は日和だと確信します。
そして夫婦喧嘩へと発展し、一度は仲直りしますが、日和の心の傷はまた別のところにあったのでした。

 作中には、日和の職場のセクハラ上司(眞島秀和)や、バツ3の裕次郎の働く店の店長(的場浩司)や、旦那デスノートの書籍化を断られたことを根に持ち嫌がらせにくる編集者など、裕次郎よりも問題のある人物が登場しています。彼らに比べれば裕次郎の方が全然マシだと思ってしまいますが、それでも嫌なのは相手に求めるものが違うからで。その人にとって大事な人であればあるほど、自分を大切にしてほしい、みていてほしい、気にかけてほしいと、求めるものももちろん違ってくるんですよね。

「大丈夫?」などのちょっとした一言があったり、相手を気遣う言動があるだけで、物事がスムーズにいったり、相手との関係も良好に保てるのだと思います。たとえ相手が求めるものがわからなくても、自分だったらどうだろう?と想像してみるだけで、かける言葉やとる行動も違ったものになるのではないでしょうか。かく言う筆者も、足りない頭を使って想像力を鍛えないと!と思った次第です。

(文/森山梓)

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