アニメーション版ファンも楽しめるディズニー実写映画『美女と野獣』

　ここ数年、立て続けに実写映画化されているディズニー作品。最近では、白雪姫にラテン系女優のレイチェル・ゼグラーが、『リトル・マーメイド』アリエル役にアフリカ系女優のハリー・ベイリーが抜擢されたことで、ネット上では賛否の声が巻き起こっています。

近年、ディズニーだけではなく、いろんな映画スタジオが多様性を大切にし始めましたよね。私も人気ゲーム「バイオハザード」の原点を描く映画『バイオハザード：ウェルカム・トゥ・ラクーンシティ』で、レオンがゲーム原作とは全く違うビジュアルで唖然としたのを覚えています。このように、差別意識などとは関係なく「原作とキャラクターが全然違う」ことでなんだか違和感を覚える人も少なくないでしょう。これは、なんとも難しいトピックではありますが、今後の実写映画をどう楽しむかどうか......で頭を悩ます前に、オリジナル版のファンも楽しめる素敵な作品に仕上がっている実写版『美女と野獣』で一旦気持ちを落ち着かせてみませんか。

　舞台はロココ時代のフランス。傲慢な王子は魔女の呪いによって醜い野獣の姿に変えられてしまいます。呪いを解くには、魔法の薔薇の花びらが散り果てる前に、誰かを愛し愛される必要があります。そんな中、野獣が暮らす閉ざされた城へある男性がやってきたことをきっかけに、野獣は美しい女性、ベルと出逢います。

　ベルを演じたのは、『ハリー・ポッター』シリーズで知られるエマ・ワトソン。彼女は美しい歌声も披露しています。また、原作を再現したシーンもちらほら。例えば、ベルが野獣に心を開き始めた雪合戦のシーンは、原作アニメにもある癒されるシーン。IMDbによると、エマ・ワトソンはこのシーンについて、ベルが野獣から雪を顔に投げつけられた時、満足のいくところに命中するまで、何度も試行錯誤を繰り返したというエピソードを披露していました。演者のいろいろな苦労も詰まってできた美しい実写映画『美女と野獣』。原作にも忠実で、それでも新しいオリジナル曲もあって、白人ばかりが使われているわけではなく多様性もしっかりと持たされている。もう、実写映画のお手本なのでは！とも思えるほどの良作。今後の実写映画も『美女と野獣』のように多方面から高評価を得る作品が登場することを願うばかりです。

（文／トキエス）