生きづらいと感じているあなたに『生きてるだけで、愛。』
- 『生きてるだけで、愛。』
- 趣里,菅田将暉,田中哲司,西田尚美,松重豊,石橋静河,織田梨沙,仲里依紗,関根光才,関根光才
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他人にとっては「普通」のことが、なんだか自分にとっては難しい。自分で自分が嫌になる......いま、生きづらいと感じてしまっている人は少なくないと思います。そんな方にぜひ見てもらいたいのが『生きてるだけで、愛。』。女優の趣里が主演を務め、うつと闘うヒステリックな女性を見事に演じきっています。そんな彼女の恋人役は菅田将暉。いわば"重い"映画というジャンルに入ってしまう一本ですが、心に刺さるメッセージも盛り沢山。
恋人、津奈木(菅田将暉)のアパートで同棲生活を送っている寧子(趣里)。彼女は過眠症で常にベッドの上にいて、夜食を買ってきた津奈木に対しても不機嫌に当たり散らす。一方、コントロールが効かない自分に対し呆れ果てていました。そんな中、津奈木の元恋人、安堂(仲里依紗)が現れ、「ヨリを戻したいから彼のアパートから自発的に出て行ってほしい」と無茶なお願いをしてきます。混乱する寧子に対し、無理やりカフェバーのアルバイトを紹介した安堂。これまでバイトの面接ですら行くことのできなかった寧子でしたが、このバイトをきっかけに徐々に心境の変化が現れます。
姉から「たまには料理でも作ってあげないと愛想つかれちゃうよ」と言われた寧子は、津奈木のためにスーパーに買い出しに行くのですが、そのシーンがとっても印象的。いわゆる「普通の買い物」ができないのです。挙動不審になり、ひき肉が売り切れだと言われて不安になる。どの玉ねぎを買ったらいいのかわからない。そんな寧子の姿からは、うつがどれだけ大変なものなのか、ひしひしと伝わってくるのです。うつでヒステリックな女性がメインである本作ですが、その彼女の周りを囲むキャラクターにも注目。なぜ津奈木はそこまで寧子に優しいのか、その理由がわかる最後のシーンはとっても印象的。正直なところ、本作は「生きづらい」と感じている人の背中を押すような"前向き映画"ではありません。それでも人生の辛さをオブラートに包まずに赤裸々に表現している本作を見れば、あなたの中で何かが変わるはず。
(文/トキエス)