もやもやレビュー

都合よく塗り替えられた悲しい記憶『心霊ドクターと消された記憶』

心霊ドクターと消された記憶 [Blu-ray]
『心霊ドクターと消された記憶 [Blu-ray]』
エイドリアン・ブロディ,サム・ニール,クロエ・ベイリス,ロビン・マクリーヴィー,マイケル・ペトローニ
松竹
商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> HMV&BOOKS

 人生で最も辛い出来事。時間が経つにつれ記憶が曖昧になり、無意識のうちに都合の良いように解釈してしまっていた。そんな経験はありませんか? 自分を守るため、記憶は自分に嘘をつく......そんな恐ろしい脳の不思議をホラーとして描いた作品『心霊ドクターと消された記憶』は、震えが止まりませんでした。

 主人公は、娘を不慮の事故で亡くした精神分析医のピーター(エイドリアン・ブロディ)。妻との関係もうまくいかず、暗い部屋で1人、患者の話を聞く日々を過ごしていました。ある日、1人の少女が彼の部屋を訪れ、数字を書いたメモだけを残して去るのですが、このメモをきっかけに、ピーターの患者は全員1987年7月12日に発生した列車の脱線事故で亡くなっていたことがわかります。なぜ死者が幽霊として自分の目の前に現れたのか。何かを訴えているのではないか。そんな思いからピーターは事故の調査を始めますが、次第に自分自身の記憶が歪んでいたことに気づき、驚きの真実と直面します。

 ピーターは、娘を亡くしたこと、そして患者も死者であることから、何かしらの共通点を感じ、事故の調査に没頭します。一つ、また一つとわかっていく真実に心が痛くなり、最後には衝撃の展開が待ち受けています。ちなみに、ミステリー要素が大幅を占めますが、しっかりホラーとして怖がらせてくるシーンもあり。映像的にもストーリー的にも驚きが詰まった一本です。

(文/トキエス)

« 前の記事「もやもやレビュー」記事一覧次の記事 »

BOOKSTAND

BOOK STANDプレミアム