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波乱万丈な人生を2時間に凝縮『フリーダ』

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最近また、おうち時間が増えた人も多いのではないだろうか。外に出る用がなければ、一番遠い行き先はトイレ、1日の歩数は100歩未満...と体の動かし方すら忘れそうな生活を送っている人もいるかもしれない。個人的には腰痛が気になり、なんだかスッキリしない日もある。でも、メキシコの代表的な画家、フリーダ・カーロを見ると、この程度の痛みを「気掛かり」なんて言ってはいけない、と思う。

一本につながった、たくましい眉毛が印象的なフリーダは、常に痛みと戦いながら短い人生をくぐり抜けてきた女性である。特に18歳のときに遭ったバスでの交通事故は、晩年まで彼女を悩ませた出来事。彼女は生涯入退院を繰り返すこととなり、事故の後遺症が強く出た右脚は、最終的に切断している。

彼女の痛みは肉体に留まらず、精神にも及んだ。彼女が結婚した偉大な画家、ディエゴ・リベラは、フリーダの妹にまで手を出してしまう、大変な浮気性だった。ディエゴが最も愛した女性はフリーダで、フリーダが最も愛した男性はディエゴだ、とは言われているものの、ディエゴの浮気性は治らず、フリーダも浮気をしはじめ、かなり精神力が試される関係にも見えた。

痛みはもはや体の一部で、悲しいと思うことは何度もあったはずなのに、それでも人生、絵、愛を諦めずに全力で生きていこうとしたフリーダ。彼女の人生がぎゅっと凝縮された映画が、サルマ・ハエック主演の『フリーダ』(2002年)である。彼女の人生をつまむ程度にしかならないけれど、フリーダを知る一歩としては、いい作品かもしれない。

ハエックを通してフリーダを見ていると、腰痛に効くストレッチに励むのなんて、ちょろいものだと思えてくる。

(文/鈴木未来)

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