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『5パーセントの奇跡 嘘から始まる素敵な人生』に見る、夢の追いかけ方

5パーセントの奇跡 ~嘘から始まる素敵な人生~(字幕版)
『5パーセントの奇跡 ~嘘から始まる素敵な人生~(字幕版)』
コスティヤ・ウルマン,ヤコブ・マッチェンツ,アンナ・マリア・ミューエ,ヨハン・フォン・ビューロー,ニラム・ファルーク,オリヴァー・ツィーゲンバルク,ルース・トーマ,マルク・ローテムント,ヨウコ・ヒグチ-ツイッツマン,タニヤ・ジーグラー
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夢に向かって猪突猛進できる人がいる。悩みや困難をバネに前に進む。努力を惜しまないし、周りの人間を図らずとも引き込んでしまう。誰もが夢を見る。あんな人になりたい。ああなれたらいいのに...、そう思う。しかし、現実にできる人とできない人の違いは、自分を信じられる強さなのだろうか。もしかすると、どこかで限界の壁を作っているのではないか。

サリヤは違う。通称"サリー"。父母、姉と四人家族で暮らす彼の夢は、一流のホテルマンになること。ところが突然、目の前が真っ暗になる。先天性の病気による網膜剥離で、5パーセントの視力に。理解のある母と姉の協力を得て、障がい者であることを隠し通してホテルマンになるという、荒唐無稽な挑戦が始まる。そして、ミュンヘンの5つ星一流ホテルの研修生になるチャンスを得たサリヤだったが、歩数、方角、ホテルの内装など丸暗記し、面接をなんとかギリギリでパス。無事に本採用試験まで漕ぎつけられるのだろうか。

実話に基づく話であるため、きっとハッピーエンドなのだろうとは思っていた。しかし、他人にはわからぬ苦悩や、それを乗り越える姿を見ていると勇気がもらえる。とくにサリヤの友人がいい奴なのだ。支え合って研修を乗り越える。サリヤを自然の中に連れ出したシーンは涙腺にくるものがあった。じわりじわりと夢に近づく後押しをしてくれる、そんな映画である。

(文/峰典子)

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