もやもやレビュー

思春期ならではのもどかしい感情が溢れ出す『パロアルト・ストーリー』

パロアルト・ストーリー(字幕版)
『パロアルト・ストーリー(字幕版)』
エマ・ロバーツ,ジェームズ・フランコ,ナット・ウルフ,ジャック・キルマー,ジア・コッポラ,ジア・コッポラ,SEBASTIAN PABLO
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 思春期だったころ、自分の感情を制御できず、好きな人に辛く当たったり、意味もなくイライラしたり......今考えたら、訳もわからずもどかしい感情を持っていましたよね。そんな若者の複雑な心境を描いた『パロアルト・ストーリー』。切なくもありながら、自分の思春期のころと思わず重ねてしまう一本です。

 エマ・ロバーツ演じる主人公のエイプリル。サッカー部の練習の合間にタバコを吸い、友人たちとコーチのミスターB(ジェームズ・フランコ)のウワサで盛り上がる日々を過ごしていました。ある日、ミスターBから「デートがあるから息子の子守をしてくれないか」とお願いされます。それからというものの、エイプリルはミスターBとの距離が急接近していき、気になる存在に。一方、エイプリルに思いを寄せる同級生のテディは、パーティーでエイプリルが他の男子とキスをしているところを目撃し、気が動転したのちに飲酒運転で接触事故を起こしてしまいます。逮捕されたテディは、図書館で奉仕活動に励むようになり......。

 注目は、エイプリルとミスターBの関係。秘密の関係にドキドキする傍、ミスターBの大人の対応に戸惑うエイプリル。そんな彼女に感情移入することで、大人と子供の間にいる思春期らしいもどかしさを体感することができます。ちなみに本作の原作はジェームズ・フランコが2010年に発表した短編小説「Palo Alto」で、こちらもおすすめ。思春期の頃をリアルに感じられるとともに、ジェームズの才能を改めて感じることができる一本です。

(文/トキエス)

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