もやもやレビュー

誰もが大人になりきれないで生きている『ヤング≒アダルト』

ヤング≒アダルト (字幕版)
『ヤング≒アダルト (字幕版)』
シャーリーズ・セロン,パットン・オズワルト,パトリック・ウィルソン,エリザベス・リーサー,ディアブロ・コディ,ジェイソン・ライトマン,ジェイソン・ライトマン,ディアブロ・コディ,リアンヌ・ハルフォン,メイソン・ノヴィック,ラッセル・スミス
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高校生の妊娠を描いた『JUNO』の監督・脚本家コンビが手がけた『ヤング≒アダルト』を紹介したい。ヒロインのメイビスは、ライトノベルのゴーストライター。小説の主人公は、30代半ばでバツイチ、美人の干物オンナ。そう、まるでメイビス自身のよう...。

高校時代の栄光をずるずるとひきずっているメイビス。元彼が結婚し、赤ちゃんが生まれるというので、奪い返しに帰郷するところから始まります(その時点でかなりの狂気)。ペット犬のポメラニアンと愛車に乗り、ブランドものを着て行くのですが、それもなかなか痛い。同級生には、不動産を探しに来ているとかウソもついちゃって。メイビスはバディを自分に振り向かせられると謎の自信を持っているのですが、バディは愛する妻に赤ちゃんにと、幸せ絶頂期なので、それどころじゃない。そりゃそうだろ。むしろ、どうなると思っていたんだ...。

劇中でスパイスとなる役割を果たすのが、高校時代にスクールカーストで最下層にいたオタクのマット。噂話好きの田舎の洗礼を浴び、浮いてしまったメイビスが腹を割って話せるのは、このマットだけ。スクールカーストの対極いた二人が友情を築くというのが、とても面白い展開なのです。

いろんな立ち位置の人が出てくるので、人によって共感できる人物が違うかもしれません。最初は哀れに思っていたメイビスが、いつしか自分にもこんな側面があるのかも、と思ったりもして。

(文/峰典子)

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