もやもやレビュー

デロリアン、という車について。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』

バック・トゥ・ザ・フューチャー (吹替版)
『バック・トゥ・ザ・フューチャー (吹替版)』
マイケル・J・フォックス,クリストファー・ロイド,リー・トンプソン,トーマス・F・ウィルソン,クリスピン・グローヴァー,クローディア・ウェルズ,ビリー・ゼイン,ケーシー・シマーシュコ,ロバート・ゼメキス,ロバート・ゼメキス,ボブ・ゲイル,ボブ・ゲイル,ニール・キャントン
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世界には『となりのトトロ』の猫バスに乗ることを夢見る子がいるように、ピカピカの「デロリアン」に乗ることを夢見る子もいる。後者の登場作は、言わずとも知れた『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985年)。

本作をきっかけにその時代を代表するアイコンと化したデロリアンだけれど、一風変わった成り立ちを持つ車でもある。なにせ販売年数はたったの三年半。実は映画が公開される前にその製造会社は倒産している。というのも、奇抜な見た目で人々を惹きつけたはいいものの、高額の割に性能が悪く、売れ行きは絶不調......デロリアンの生みの親は、会社を救う資金を稼ごうと、とうとう麻薬取引に手を出し逮捕されてしまったのである。ところが本作に起用された途端、どろどろの過去はそっちのけ、という具合にデロリアンは車好きの層を超えて、爆発的な人気を集めたのである。

本作に登場するデロリアンは、科学者のドク(クリストファー・ロイド)が作った渾身のタイムマシン。ドクの親友であるマーティ(マイケル・J・フォックス)は、とある事件をきっかけに一人でそれに乗り、1985年から1955年にタイムスリップしてしまう。過去に放り込まれるや否や、宇宙人扱いされる、自分の母親に惚れられる、母と父が結ばれる瞬間を台無しにしたがために、自分が生まれることすら怪しくなってくる......などなどの事件が勃発。マーティは無事、フューチャーにカムバックできるのか!?

ちなみにデロリアンといえば、時速88マイルに到達した瞬間タイムスリップができる、という設定。ときは2017年、とあるデロリアン所有者(本作のファン)が、助手席に座る母に煽られ88マイルまで飛ばしてみたところ、タイムスリップは失敗、手に入れたのは4万円の違反切符だったという。にも関わらず違反を告げられた際には人生イチのスマイルを見せ、違反切符をドリームチケットと呼んだ彼。この作品はデロリアンをこんなにも愛くるしい存在にしてしまったのである。猫バス派も、鑑賞後はデロリアンに気移りしてしまう可能性、あり。

(文/鈴木未来)

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