おじさん3人、野鳥を求めて三千里。『ビッグボーイズ』

バードウォッチングを悠長な趣味だと思っていたら火傷する。こんな世界があったのかと驚かされるだろう。北米最大のバードウォッチング大会「ザ・ビッグイヤー」は、全愛鳥家にとってあこがれの大会だという。そのルールは規格外。驚くなかれ、1年間で見つけた野鳥の種類の数を競い合うという壮大な規模の大会で、参加者たちは希少種を追いかけ、各々飛行機や車で、アメリカとカナダの大陸部を移動する。審判はいないので、獲物の写真撮影に成功しなくとも、ライバルが信用してくれることを前提に、観察地点と日時をノートにメモに残していくのだという。

なんて平和な世界なのだろう、と思うのだが、いざ参加するとなると莫大な時間と金がかかり、間違いなく仕事や家庭に支障をきたす。
鳥好きにとっては、死ぬまでに一度は参加したいと願う、夢のまた夢なのである。そんな大会に参加した、年齢も立場も違う3人の男が、夢と現実のぶつかり合いに悩みながらも、野鳥を探し求めて奔走する様子を描いたのが、映画「ビッグボーイズ」。監督は「プラダを着た悪魔」のデビッド・フランケルである。

ジャック・ブラック、オーエン・ウィルソン、スティーブ・マーティン、このキャスティングがもう完璧で、それだけでお墨付きと感じるのは私だけではないだろう。人生の岐路に立ち、行き詰まりを感じていた彼らが、ついに自分たちの夢=ザ・ビッグイヤーとともに一年を過ごす決断をする。果たして今回の旅は、彼らの人生を変えるのだろうか。 "大人になりきれない男たち"とコンテストの行方をぜひ見届けてほしい。

（文／峰典子）