もやもやレビュー

ピンチは人生を変えるチャンス。『LIFE!』

LIFE!/ライフ オリジナル版 (字幕版)
『LIFE!/ライフ オリジナル版 (字幕版)』
ベン・スティラー,ショーン・ペン,シャーリー・マクレーン,アダム・スコット,クリステン・ウィグ,ベン・スティラー,Ben Stiller,G. Mac Brown,Stuart Cornfeld,Samuel Goldwyn Jr.,John Goldwyn,Meyer Gottlieb,Matt Levin,Jeff Mann,Ethan Shapanka,Gore Verbinski
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書店をのぞいてみると、英会話、ダイエット、ビジネス系啓発本の類は、いつだって新刊が賑わっている。この三つは、挫折しやすく、成功しにくいからだろう。表紙を見てみると「この一冊で変わる」だとか「最新メソッド」「累計◯◯万部の人気シリーズ」といった強気なフレーズが帯を飾る。その方法は、計画の立て方やモチベーションを保つ方法などさまざまなのだが、基本的に言いたいことは一つで、「小さいことでもいいので、とにかくアクションを起こす」ということに尽きるのではと思う。まぁしかし、これが一番簡単なようで、なにより難しいというのは皆さんもご存知の通りである。

映画『LIFE!』で、人生を変えるアクションに奮闘する男を演じるのはベン・スティラー。出版社のフィルム管理部門に勤める妄想癖の激しい男ウォルター・ミティが、紛失したネガの在り処を聞き出すため、携帯電話を持たず世界を飛び回る著名カメラマンを追いかけ、海へ山へ壮大な冒険に繰り出す。

序盤でのウォルターは見た目こそ地味ではあるものの、実は軟弱タイプではなく、少年時代は新聞に掲載されるほどスケボーがうまかったり、体力もあることが次第にわかってくる。海に飛び込んだり、山に登ったりも様になるし、自然の中で眼の輝きを取り戻してくるのだ。このあたりの目の演技がすごい。かといって、ウォルターが人生に無気力であったかというと全くそうではなく、むしろ仕事に真摯に取り組んできたのだ。しかし思いがけない冒険で、自分の側面に気付くことができた。恋もできた。
今作は主演であり監督でもあるベンだが、少年の心を取り戻していくという役をやらせたら、やっぱりうまい。フォトグラファー役のショーン・ペンがこれまた滋味深く、ニヤニヤしてしまう。

(文/峰典子)

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