もやもやレビュー

『ゴドーを待ちながら』並みの不条理劇『デビルシャーク』

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 本作の原題は『Shark Exorcist』とある。ジャケットには禍々しい雰囲気の巨大サメと海辺で十字架を持つ神父の後ろ姿が描かれている。「今度はサメがエクソシストと戦うのかぁ」と呆れて視聴していたら、なかなか神父が出てこない。ついでに言えば、サメもなかなか出てこない。オープニングとエンディングを除いたらほぼ1時間という短い尺にも関わらず、ジャケットに描かれたサメや神父は出てこない。サメ映画=地雷という公式を裏付けるサンプルをまた一つ採集した気分だ。

 上記の通り、サメや神父がほぼ出番なしにも関わらず、本作のあらすじは「悪魔が憑依した巨大鮫VS祓魔師=エクソシスト!  今、史上最恐の戦いが始まる―。
 邪教に魅入られた修道女が召喚した悪魔。それは凶暴で巨大なホオジロザメに憑依。次々と漁村の人々に襲いかかった!
 血に染まる海―。さらに鮫に噛み殺された犠牲者も、牙を生やした怪物に変異。
 平和だった村は、何処にも逃げられない地獄と化す!!
 そんな時、一人の男が漁村に赴く。彼こそがエクソシスト=悪魔祓い師であった...」と説明されている。ジャケットも詐欺みたいなものなら、あらすじもデタラメである。余談だが、「邪教に魅入られた修道女」という存在もなかなか出てこない。
 では、本作の主な場面は何で構成されているかというと、漁村の人々だ。彼らが歩いているシーンや物語の進行に何ら意味のない雑談を繰り広げるだけ。1周回って戯曲『ゴドーを待ちながら』でも観ているような気分になる。不条理劇と説明されたら納得するレベルだ。サメ映画なのに人がサメに襲われる直接的なシーンは皆無というのもすごい。悪い意味で。

 ちなみに修道女の名前はリンダ・ブレア。『エクソシスト』で主人公を演じた女優の名前だ。これはパクりなのかリスペクトなのか。ここまで悪質な映画を製作する連中が名作に敬意を払う気があるとは思えない。意図を考えるだけ無駄だろう。

(文/畑中雄也)

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