もやもやレビュー

登場人物がダーウィン賞モノ『ケージ・ダイブ』

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 撮影者が行方不明になり、発掘されたという設定のファウンド・フッテージ・スタイルなんて採用するから、最初はマトモな作品かと思ってしまった。予告編を視聴する限りではサメのCGがちゃんとしているし。だが、ふたを開ければバカがバカをして順当に死んでいく残念なパニックホラー風の駄作に過ぎなかった。

 物語は、サメに襲われ行方不明になった交際中の男女と、男の弟(女の浮気相手)がサメのケージ・ダイブを楽しむためオーストラリアへ訪れるところから始まる。荒波で船が転覆し、3人はホオジロザメが回遊する海に投げ出され――。

 あらすじはよくあるパニックホラーのそれであり、こんなものは様式美だ。この手のホラーがホラーとして成立するためには遭難者の葛藤とか、どうしようもない理不尽があってこそなのだが、本作は作中で「サメに遭遇したらやってはいけないこと」と説明された「音を立てない」「夜間に行動しない」などの行動をコンプリートしている。そりゃ死にますわ。「サメに襲われる確率は9億分の1」と言っているのに、無駄に死ぬ確率を高めても。

 挙句の果てに救命ボートを照明弾で燃やす始末。現実で起きたら、死んで人類の進化に貢献した馬鹿に与えられるダーウィン賞は確実だ。そんな奴らがどう死のうが感情移入はできないし、むしろ爽快な映画になっている。陽気なイケメン美女が惨たらしく死ぬのはB級ホラーのお約束なので、それが狙いなのかも知れないが。とは言え、サメがゾンビになったり頭がたくさんついたりするご時世に、いじめられっ子の暗い欲望のようなものを80分も見せられるのは苦痛である。

 本作が公開された同時期に、サメのケージ・ダイブを題材にした『海底47m』という作品がある。こちらはきちんと物語としてストレスなく視聴できた。同じような設定でも天地ほどの違いが出るのだから映画とは脚本次第なのだなぁと改めて痛感する。

(文/畑中雄也)

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