高スキルな死体をラドクリフが熱演『スイス・アーミー・マン』
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先日、災害時用のアーミーナイフを買おうと色々と物色していたのだが、そのくだりで、劇場に行きそびれてしまった作品『スイス・アーミー・マン』のことを思い出し、無事に鑑賞することができた。
『スイス・アーミー・マン』の主な概要は「高機能の死体と、それに偶然出会った、死にたいけど死ねなかった男のロードムービー」である。一回だけでは意味がわからないと思うので、何度か口にして読んでみてもらいたい。
説明不要かもしれないが、スイス・アーミー・ナイフとはマルチツールである。ナイフだけでなく、缶切りやドライバーなどがコンパクトにまとめられていて、十徳なんて名称で売られていたりもする。
『スイス・アーミー・マン』に登場するメニーは、それほどに高スペックな死体なのである。会話ができるのはもちろん(?)のこと、炎を吹き出したり、おならで飛べたり、口からシャワーを出したりする。想像の上のさらに上の斜めくらいを行くので、油断しないでほしい。
メニーを演じるのは、ダニエル・ラドクリフ。ハリー・ポッター以降はホラー映画に多く出演してきたラドクリフだが、ここにきて究極の当たり役に出会ったと言っても過言ではないと思う。実際、なんの躊躇もなくこの役を引き受けたという。
メニーと出会い、友情を深める男にポール・ダノ。監督や共演者に愛される役者として、良作に多く出演しているが、彼もやはり脚本の数ページを読んだだけで快諾したとか。
友情に人生、笑いも涙も、すべてが詰め込まれた脚本。突飛な設定もなんだか品良く見せてしまうカメラワークや音楽も素晴らしい。愛って何だっけ。
(文/峰典子)